北斗星(2月9日付)

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 地下に眠る地層や鉱床が地表に現れた場所を「露頭」という。栗原エミルさん(24)と松本隆慈トラヴィスさん(22)は昨年暮れ、この語を意味する英語「アウトクロップ」を社名にして、映像制作スタジオを秋田市雄和で立ち上げた

▼出身地は京都府と北海道。ともに外国人と日本人の間に生まれた2人は国際教養大(秋田市)の同窓で、卒業前に短編ドキュメンタリー「沼山からの贈りもの」を共同制作したのが創業のきっかけとなった

▼かつて横手市で栽培された伝統野菜「沼山大根」の復活に取り組む農家3人に密着取材。全国地域映像団体協議会のコンテストで学生部門の最優秀賞を受賞するなど高評価を得た。食と農が抱える課題を通じて秋田に眠る自然や歴史の豊かさが伝わってくる作品だ

▼企業などからコマーシャル映像の制作を受注して収益の柱としながら、秋田に根差したドキュメンタリーを作っていく。2人が目指すスタジオの姿だ。活動を支援する河辺雄和商工会の職員は「映像を通して地域の魅力を引き出したいという熱い思いを感じた」と話す

▼大学進学まで秋田とは縁もゆかりもなかった2人。方言が聞き取れないなど苦労もあるという。そんな彼らの視点で捉えたからこそ、映像化された秋田の姿に新鮮な空気が宿る

▼「大地に覆われた見えない原石を見つけて掘り起こし、今まで見えなかった物語を魅(み)せていきたい」。そう意気込む2人はこれから、どんな露頭を見いだしてくれるだろう。

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