社説:総務官僚接待問題 首相の指導力で解明を

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 菅義偉首相の長男による総務省幹部への接待問題が国会で取り上げられている。放送事業会社勤務の長男らから接待を受けた官僚の1人は調査中を理由に詳細な答弁を保留。菅首相も長男は「別人格」であるとして具体的説明を避けている。

 週刊誌報道などによると、事務方ナンバー2の総務審議官ら4人が昨年10~12月、都内料亭などで長男らから接待を受け、帰りにタクシーチケットや手土産を受け取った疑いがある。

 国会招致された官僚は費用を払わずに飲食し、タクシー代を提供されたと認めた。ただし金額は明かさず、後に返金したとの答弁にとどまる。詳しい事実関係は依然、不明なままだ。

 しかし問題の核心は明確なのではないか。まず、国家公務員倫理規程が禁止する「利害関係者」からの接待に当たるか否かだ。接待を通じて不透明なやりとりはなかったのか、行政の許認可がゆがめられるようなことはなかったのかも問われる。

 この問題では総務省が人事院国家公務員倫理審査会と連携して調査。政府筋によると調査には1~2カ月かかるという。それほど時間をかけないと解明できない問題なのか疑問だ。

 民間人である長男と一部官僚の起こした個別問題へと矮小(わいしょう)化し、「詳細は調査中」とやり過ごす。それが首相官邸の戦略のようだ。だが国民の視線が厳しいことを忘れるべきではない。世論調査では、接待問題を巡る首相説明について「納得できない」が6割を超えた。

 国民の政治への信頼を回復するため、菅首相は強い指導力を発揮し、徹底した解明を急ぐべきだ。その上で国民が納得できるように事実関係を説明しなければならない。

 接待された3人は報道前日、国家公務員倫理規程に基づき飲食を届け出た。規程では利害関係者の接待を受けることは原則禁止。ただし自己負担すれば飲食に参加でき、1万円超負担の場合は届け出が必要となる。

 届け出たこと自体、利害関係者との飲食を認めたことにならないか。長男が勤める会社の子会社は総務省の事業者認定を受けており、利害関係者に当たる可能性が濃い。飲食には子会社社長も同席していたという。

 届け出が事後であることも不信感を募らせる。飲食の透明性を確保するため、届け出は事前に行うのが原則だ。にもかかわらず報道前日に急きょ届け出たのは、規程違反回避が狙いだったと見られても仕方がない。

 この問題は菅首相自身にも関わる。「別人格」である長男は菅首相の総務相時代に秘書官を務めており、接待を受けた官僚と知り合った疑いがある。

 父親が現職首相の座にあるからこそ、倫理規程違反の恐れがあったにもかかわらず、官僚4人は長男らの接待を受けたのではないのか。菅首相自ら疑念を払拭(ふっしょく)しない限り、接待にまつわる不透明感は募るばかりだ。

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