ローカルメディア列島リレー(18)水野重寿
全国のローカルメディアの作り手が、ローカルならではのメディアの形や取り組みについて綴るリレーエッセイです。紙もウェブも、看板やアートプロジェクトだって「ローカルメディア」に?! 特色あるローカルメディアの担い手たちのアイデアと奮闘の記録です。
ローカルで“新しい価値”を見つけたい人へ
秋田県の皆さまはじめまして。私は地元の岡山県でデザイン会社を営んでおります。岡山の伝統工芸品「備前焼」を子どもたちの大好きなガチャガチャで販売した「備前焼ガチャ」や岡山県産デニム、ベンガラ染めの製品など、地元の特産品や工芸品を中心に商品開発から販路開拓まで手がけたり、お祭りやイベントの企画運営したりと、地域に密着した仕事をしています。
「そんなことで、生計を立てられるの?」ってよく言われます。結論から言うと創業当時は、かなり厳しかったです。創業当時の6年前はローカルが注目され始めたばかりで、市場が小さかったですね。しかし、今はローカルが大手企業や国内外の方にも注目される地盤ができたので、運良くマネタイズできる社会になったというのが正直なところです。
ここで、「備前焼」を例に私の商品開発方法について少しご紹介させていただきます。まず、備前焼そのものの性質は変化しません。土を形づくり、焼成する。これをどのように真新しく見せ、魅力的に見せられるかが大切です。そこで私がはじめにやるのが、機能価値を見つけ出す作業、つまり潜在的機能の発見です。備前焼は、セラミックです。ではセラミックは他にどのような商品や用途として使用されているかを調べるのです。私のことをアイデアマンなどと言ってくださる方もいるのですが、実は「素材を変換しているだけ」というのがタネ明かしだったりするんです。もし、あなたが「新しい提案が思い浮かばない」と嘆かれているのならば、一度、機能価値を整理してみてください。不思議と新しい視野が見つかると思いますよ。
水野重寿/一般社団法人コミュニタスポジション代表理事
1979年岡山県備前市生まれ。2015年一般社団法人コミュニタスポジション設立。地元の特産品や工芸品を中心に商品開発の企画からプロダクト・パッケージ・広告デザイン、販路開拓までのワンストップでサービスを提供している。