社説:脱炭素化加速 踏み込んだ対策が急務

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 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に米国が正式復帰したことで、世界の脱炭素化への歩みは今後加速する見通しだ。遅れが目立つとされる日本は踏み込んだ対策が急がれる。

 バイデン米大統領は気候変動対策を外交や安全保障政策の柱に世界を主導する姿勢。4月下旬に二酸化炭素(CO2)の主要排出国の首脳らが参加する会合を主催する。日本は積極的な取り組みを求められそうだ。

 米国のCO2排出量は中国に次いで世界2位。バイデン政権はクリーンエネルギーや新たな技術が雇用を生み出す効果も狙う。米国が今後策定する排出削減目標がどの程度の水準になるのか注目される。

 日本はCO2排出量世界5位。菅義偉首相は昨年10月の所信表明演説で2050年までの温室効果ガスの排出量実質ゼロを宣言している。これで日本は既にゼロ宣言していた約120カ国にようやく追いついた格好だ。

 パリ協定は温室効果ガスの排出を減らし、産業革命前からの平均気温上昇を今世紀末まで2度未満、できれば1・5度に抑える目標を掲げる。そのためには50年の排出ゼロ目標を掲げるだけでは不十分とされる。

 各国は30年までのより厳しい削減目標を掲げつつある。日本は30年目標をどこまで厳しく打ち出せるのか。11月に開催予定の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向けての課題となる。

 政府は脱炭素社会の実現に向けて「グリーン成長戦略」を策定。再生可能エネルギーや電動車など14の重点分野を設け、普及の年限や目標を定めている。

 戦略実現には企業活動への影響が避けられない。全ての車を電気自動車に転換すれば使用部品が大幅に減り、現在約300万人の関連雇用が30万人減るとの試算もある。とはいえ電気自動車が世界の潮流ならこれに背を向けてはいられない。

 一方、電力は現在主力の火力発電を縮小し、洋上風力をはじめとする再生可能エネルギーの拡大を目指す。ただ風車のほとんどが輸入頼みとなっている点は気掛かりだ。

 脱炭素社会の実現を成長戦略にするのであれば、再生エネルギーの設備を輸入にばかり頼ってはいられない。今後は風力発電システムや太陽光パネルなどの設備の国産化をもっと推進すべきではないか。

 政府はCO2排出に課金する制度「カーボンプライシング」導入の検討を始めた。脱炭素対応で掛かり増しになるコストをカバーし、企業の成長を促す支援体制づくりが急がれる。企業負担軽減の仕組みを含めた対応の検討が必要だ。

 温暖化対策は地球の未来のために必要であり、世界各国の協調が重要になる。日本は脱炭素社会を築く機運の醸成を図りつつ、経済成長につなげるための思い切った戦略を練り上げていかなくてはならない。

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