社説:6府県宣言解除 感染再燃防止に全力を

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 新型コロナウイルスの感染急拡大に伴い首都圏など10都府県に再発令されていた緊急事態宣言は、東海・関西圏と福岡の計6府県で3月7日の期限を待たずに前倒し解除された。東京をはじめとする首都圏の4都県について、政府は予定通り7日解除を目指す。

 新規感染者の減少や医療体制の逼迫(ひっぱく)がある程度抑制されたことを受けての判断だ。しかし感染者の減少ペースは鈍化しており、医療逼迫が解消したとは言い難い。政府は状況を慎重に見極め、感染防止に緩みが生じないようにするべきだ。首都圏を解除するかどうかについて適切かつ冷静な判断が必要だ。

 今回の緊急事態宣言は昨年11月以降の感染急拡大を受け、年明け早々に発令された。当初は首都圏4都県だけだったが、後に計11都府県に拡大。2月初めにはこのうち10都府県で宣言が延長された。

 首都圏と6府県で判断が分かれた理由は、感染者数の推移や医療現場の逼迫度の違いだ。東京の1日当たり新規感染者数は解除の目安である500人を下回っている。しかし昨年夏の流行「第2波」に比べて依然多い上に病床使用率も高止まり。千葉、埼玉の両県は病床使用率が50%以上で「ステージ4(爆発的感染拡大)」にとどまった。解除見送りは妥当な判断だ。

 6府県は感染者数や病床使用率などで改善が見られた。しかし解除の判断は、菅義偉首相が宣言の「成功」演出のために押し切った面がある。

 専門家からは慎重論が多かった事実は重い。政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は、感染力が強い恐れがある変異株ウイルスが各地で確認されていることが懸念材料と指摘した。感染再燃の兆しを早期に把握し、素早く対策を打てるよう、繁華街などで無症状の人たちに検査を実施するよう求めている。

 6府県では、宣言に伴う行動制限が段階的に緩和される。当面は約1カ月の経過措置として、これまで5千人だったイベントの人数上限を最大1万人に拡大。午後8時終業としていた飲食店の営業時間も、知事判断で午後9時まで緩和される。

 懸念されるのは宣言継続中の首都圏やそれ以外の地域も含め、感染防止に取り組む国民の気持ちに緩みが生じることだ。今後、進学や就職、転勤の時期を迎え、人の移動や会食の機会は増えるとみられる。そうした機会が感染拡大につながらないよう、大人数での飲食の抑制やマスク着用など基本的な対策を徹底することが重要だ。

 新型コロナワクチンの医療従事者への先行接種が始まったが、先行きは不透明。感染が再拡大すればワクチン接種に割く人材確保などの面で困難が生じかねない。東京五輪・パラリンピック開催に影響を及ぼす可能性もある。感染拡大防止はこれからが正念場と言うべきだ。

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