社説:五輪海外客見送り 選手の安全が最優先だ

お気に入りに登録

 東京五輪・パラリンピックで、政府は海外からの観客受け入れを見送る方向で調整に入った。国内外の新型コロナウイルスの感染状況が厳しいことを踏まえ、受け入れは困難との見方を強めている。

 選手ら大会関係者の安全が最優先だ。大会組織委員会の橋本聖子会長は聖火リレーがスタートする25日までに決めたいとしている。国内外の状況を冷静に検討し、感染防止策を万全にした大会実現のため、適切な結論を出してほしい。

 橋本会長や国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長らが協議し、海外観客の受け入れについて今月中に判断することなどで一致した。感染状況や防疫措置、専門家の科学的知見を踏まえて最終判断する。

 日本国内の観客の入場は許可される見通し。観客数の上限は4月中に決めるが、国内イベントの上限規制に準ずることが基本になる。

 橋本会長は感染力が強いとされるウイルスの変異株の出現を踏まえ、追加的な施策を検討する必要があるとの考えを示している。大会を介して国内外に感染が広がることのないよう対策の徹底は不可欠だ。

 選手らの安全を守るためには、国内客についても場合によっては受け入れを見送り、無観客とする可能性を排除すべきではないだろう。多様な選択肢から最善な道を見つけてほしい。

 各種競技の国際大会や国内プロスポーツなどで、無観客や観客数を制限するなど安全な大会運営のノウハウは蓄積されつつある。しかし五輪・パラは競技数、参加者数が桁外れに多い。感染防止策を徹底するためには、綿密で周到な計画と、医療関係者やボランティアを含め感染防止に対応した運営体制が欠かせない。

 変異株が19都府県で確認されていることは懸念材料だ。感染者とクラスター(感染者集団)の報告数は増加傾向が見られる。急速な拡大による流行「第4波」を招き、主会場の東京をはじめとする首都圏4都県の緊急事態宣言解除や五輪・パラ開催に悪影響を及ぼす恐れもある。

 政府は、自治体で変異株のPCR検査ができる体制を整えるなど、監視体制を強めようとしている。第4波を防ぐため対応を急ぎたい。

 世界保健機関(WHO)によると、新型コロナ感染者は今年に入り減少傾向が続いていたが、2月下旬に再び増加に転じた。ワクチン接種が一部の国で始まっているが、生産が需要に追い付かず、供給状況は国によって大きな差がある。選手らへの接種が困難な国が出てきた場合の対処法も検討すべきだ。

 日本より感染者が少ない国、ワクチン接種が進む国もある。海外客を受け入れないのは、国内を優遇する差別的な印象を与えかねない。観客制限について合理的な根拠を示し、世界の理解と支持を得ることが重要だ。

秋田の最新ニュース