社説:本県の農産品輸出 実効性ある戦略構築を

お気に入りに登録

 農産品の輸出拡大を推進する農林水産省は、秋田市や大潟村など県内7市町村を「実行戦略」の産地に選定した。「牛肉」「コメ・パックご飯・米粉および米粉製品」「リンゴ」「みそ」の4品目で本県からの輸出を支援する。

 実行戦略は農林水産物・食品の輸出拡大に向け、農水省が策定。27重点品目中、主に輸出向けの生産に取り組む23品目、353産地を今回初めて選定した。本県からは7市町村のほか、「リンゴ」「みそ」で県内全域が選ばれた。

 国・地域別に各品目の目標金額を定め、海外需要に応じて輸出産地を設定。資金供給や技術指導などで支援する。

 背景には、人口減や少子高齢化で国内市場が縮小する一方、世界で高まる食料需要がある。本県は人口減が著しく、県内市場の縮小も避けられない。本県としても輸出拡大を成長戦略の一つと捉え、力を入れて取り組まなければならない。

 2020年の農林水産物・食品の全国輸出額(速報値)は前年比1・1%増の9223億円。8年連続で過去最高を更新した。本県も近年、増加傾向にあるとはいえ、国内全体から見ると依然として小規模だ。

 県は独自に「コメ」「リンゴ」「秋田牛」「比内地鶏」を輸出重点品目とし、県内事業者に聞き取りを実施。19年度の輸出額は4品目合わせて約2億8千万円だった。内訳はコメが2億3千万円で最も多く、全体の8割以上を占めた。これに秋田牛4千万円、リンゴ700万円、比内地鶏100万円が続いた。

 県の第3期ふるさと秋田農林水産ビジョン(18~21年度)が定める4品目の目標合計額は1億3100万円。これを大きく上回ってはいるが、もっと伸ばせるはずだ。青森県のリンゴ輸出は100億円超に上る。

 「コメ・パックご飯・米粉および米粉製品」について実行戦略は、香港や米国、中国、シンガポールを中心に輸出する目標を掲げる。具体的には19年に52億円だった合計輸出額を、25年までに2倍超の125億円とすることを目指す。

 本県は新潟県、北海道に次ぐコメ産地だ。主食用米の国内需要が減る中、新型コロナウイルスの影響で外食産業の需要も減少。21年6月末の在庫量は適正量の12万トンを上回り、15万トン超と試算されている。それだけに輸出拡大に期待がかかる。

 実行戦略は経済発展の目覚ましいアジアが主な対象だ。比較的距離が近く、新鮮な食品を届けやすい利点がある。県産品の輸出には横浜港など県外港が用いられるが、秋田港の利用促進も目指してほしい。

 目標を達成するための具体的な計画策定はこれからだ。生産、流通、輸出業者と行政がしっかりと連携、量や規格、価格など輸出先のニーズや規制に応じた実効性ある戦略を立てて販売を強化しなければならない。

秋田の最新ニュース