社説:総務省接待疑惑 国会で事実解明進めよ

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 放送事業会社・東北新社による総務省幹部に対する違法接待問題をきっかけに、今度はNTTが過去の総務相ら政治家や官僚に高額な接待を繰り返していた疑惑が浮上した。

 総務省は外部有識者による第三者委員会を設置し東北新社、NTTの会食接待の検証を行うとしている。しかし総務省が設置主体となる組織で、歴代の大臣経験者も対象に含む調査がどこまで徹底できるか疑問だ。国会の開かれた場でこそ真相究明に取り組むべきだ。

 東北新社に勤める菅義偉首相の長男らによる違法接待で懲戒処分を受けた谷脇康彦前総務審議官ら幹部2人がNTTの接待を受けていた。NTTは事業計画や取締役選出に関し総務省の許認可を必要とする。国家公務員倫理規程で定める「利害関係者」だ。利害関係者から接待を受けることは禁止されている。

 谷脇氏は3件で計約10万7千円の接待を受けていた。うち1件だけ5千円を自己負担したが、応分負担には程遠い。しかも国会では、東北新社以外とは「倫理法令に違反する会食はない」と明言していた。総務省も内部調査に基づき「他に違反はなかった」と説明した。

 谷脇氏には虚偽答弁の疑いがある。更迭されたのは当然だ。さらに事実関係を解明することが必要だ。総務省のずさんさも目に余る。内部調査の経緯と責任の所在を明らかにすべきだ。

 自民党の野田聖子幹事長代行と高市早苗衆院議員は総務相在任中にNTT幹部と会食していた。副大臣経験者2人も同様だった。野田、高市の両氏は会食の事実を認める一方、自己負担したなどとして接待ではないとの認識を表明している。

 総務省は第三者による検証委員会で野田氏ら政治家も含め調査する方針だ。武田良太総務相は当初、第三者委のトップに副大臣を充てる方針だったが、副大臣秘書がNTT側と会食していたため撤回した。こうしたことも国民の疑惑を膨らませるばかりだ。

 東北新社の放送法違反も判明した。放送法は衛星放送の認定事業者の外資比率は20%未満と規制。東北新社は認定を申請した時点で20%以上だった。認定後は子会社に事業を承継した。東北新社からミスとして報告を受け、総務省はBSの洋画専門チャンネル「ザ・シネマ4K」の認定を取り消す方針だ。

 違反を見逃した総務省の責任は重い。総務省は接待により行政がゆがめられたことはないとするが、事業承継手続きを最終決裁したのは当時、総務省に在籍し、その後接待を受けた前内閣広報官だ。第三者委とはいえ、省主導の調査は信頼し難い。

 与野党は東北新社とNTTの社長を国会に招致することで合意した。野党は野田氏、高市氏らの招致も要求したが、与党は拒否。客観性や透明性を担保するには、国民の代表である国会による調査以外に道はない。

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