社説:日米豪印首脳会合 ワクチン、公平な分配を

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 日本と米国、オーストラリア、インドの4カ国首脳会合がテレビ会議方式で開かれ、新型コロナウイルスワクチンの発展途上国への普及に向けて生産拡大での連携を確認した。来年末まで10億回分の供給を目指す。ワクチンの公平な分配は解決すべき世界の共通課題だ。

 ワクチン確保については国家間の格差が問題となっている。欧米各国が奪い合うように自国分のワクチン確保に躍起となっている中で取り残されている国々がある。支援を急ぐ必要性は言うまでもない。

 10億回分供給の声明は、ワクチン供給を通じて途上国への影響力を強めようとしている中国やロシアを意識したものでもある。先月開かれた先進7カ国(G7)首脳のテレビ電話会議に続く途上国へのワクチン供給支援の表明となった。

 コロナの流行収束が見通せない中、ワクチン争奪戦は激化する一方だ。増産体制は確立されておらず、声明の実現は容易なことではない。

 ワクチン生産国であり、感染者・死者がいずれも世界最多の米国はバイデン大統領が国内供給に注力する。争奪戦に出遅れた日本は自国分の確保も不透明な状況。ようやく医療従事者向けの接種が始まったが、国内生産にはしばらく時間を要する。

 それでも先進国の一員として日本がワクチンを接種会場まで運ぶ「コールドチェーン」(低温物流)整備へ資金協力などで貢献するのは当然だ。米国と共にインドの輸出向けワクチンの生産能力を高めるための支援も検討。オーストラリアは東南アジアへの供給を支援する。

 供給量は大きいが、来年末までという目標は随分先だ。それでは各国の「一日も早く」という要望に応えることはできないだろう。可能な限り日程を前倒しするよう取り組んでほしい。

 国連機関などが進めている公平分配の国際的枠組み「COVAX(コバックス)」の出番でもある。豊かな国が出資し、共同購入したワクチンを世界に配布することはコロナ克服のために欠かせない。

 G7首脳会議と日米豪印首脳会合はいずれも、COVAXとの緊密な協力を確認した。ワクチンの第1便が既にアフリカやアジアの途上国に届き始めている。早期接種を望む途上国の期待に応えたい。

 日米豪印首脳会合の共同声明は、東・南シナ海での「ルールに基づく海洋秩序に対する挑戦」には協力して対応すると強調。海洋進出で強権的な姿勢の中国をけん制する狙いだ。

 その一方で世界の共通課題に取り組む役割に期待が高まる。ワクチン供給と気候変動、重要・新興技術を扱う三つの作業部会発足が表明された。4カ国が経済、社会、技術面で協力を強化することは意義深い。まずはワクチンの供給拡大という喫緊の課題で成果を上げ、存在感を示してもらいたい。

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