社説:接待問題社長招致 深まる疑惑、証人喚問を

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 一連の総務省接待問題を巡る疑惑はさらに深まったと言わざるを得ない。放送事業会社東北新社が放送法違反を認識し、子会社に衛星放送事業を引き継ぐことで解消しようとしていた疑いが浮上した。

 同社はこの案について同省課長に相談したという。しかし、この当時の課長は「記憶は全くない」と述べている。

 同社による接待はこの前後を含め延べ39件。うち21件に同社幹部だった菅義偉首相の長男正剛氏が出席していた。その結果、違反に関連して同省が便宜を図ったことはなかったのか。徹底解明しなければならない。

 鍵となるのは国会招致された中島信也社長の証言だ。同社は2017年8月、外資比率が放送法規制対象の20%を上回る違法状態にあると認識。数日後、幹部が同省課長に面会して伝え、解消のために子会社への事業承継を提案したという。

 その後、同社は受け皿となる子会社を設立して同年10月には承継手続きを終了。これを最終的に決裁したのが後に同社から1回7万円超の高額接待を受けていた当時の総務省局長、山田真貴子前内閣広報官だ。

 中島氏の証言は民間企業のトップが国会という公開の場で行ったものであり、極めて重い。証言内容の通りであれば、同省が脱法行為を後押ししたことにもなりかねない。

 同社の違反は今月に入って判明。同省は事業認定取り消し手続きに入ったが、4年以上も違法状態を放置したその責任は重大だ。同省は違反を知っていて黙認したのか。何らかの回避策を示唆したことはなかったのか。疑念はますます強まる。

 中島氏招致によって新たな疑惑が浮上したこと自体、同省主導の調査には限界があるということだ。国会には憲法62条に基づく国政調査権がある。偽証を罰することができるなど強制力を伴う証人喚問を通じ、徹底調査すべきではないのか。

 国会には、接待問題の渦中にある澤田純NTT社長も招致された。澤田氏は自身と幹部らによる接待を陳謝、一部の会食を認めた。ただし菅首相や武田良太総務相との会食の有無については「公開すると事業に影響がある」として明らかにしなかった。国会議員との会食の機会は与野党問わずにあるとした。

 澤田氏らの接待を受けた前総務審議官の谷脇康彦氏は停職処分を受け辞職、同省局長が減給となった。接待を受けた官僚が懲戒処分される一方、接待したとされる側が国会で個別、具体的に答えるのを避ける現状では疑いは深まらざるを得ない。

 同省接待問題では官僚だけではなく、政治家も対象になっていた疑いがある。利害関係者や関係業者による接待を通じ、行政がゆがめられるようなことは許されない。国会には国権の最高機関として、あらゆる手段を尽くして国民の前に事実関係を明らかにする責務がある。

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