北斗星(3月22日付)

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 羽がないので空も飛べない。竜であれば雲にも乗れるのだろうが…。大地震に襲われた時の思いをこんなふうにつづった人がいた。「方丈記」の鴨長明だ。830年余り前に京都などを襲った地震について書いている

▼「大地が揺れ、家の壊れていく音は雷の音と変わらない。外に走りだせば地面が割れ、裂けてゆく」。自分が鳥か竜だったら―と思ったのも無理はない。「最も恐ろしいのは、ただただ地震なのだとはっきり分かった」とある

▼足元の大地はびくともしないから安心できる。それが揺れるのだから地震は怖い。宮城県で一昨日、最大震度5強、本県では4を観測した。「1、2、3」と数えると揺れは30秒近い

▼テレビにくぎ付けになる。宮城に津波注意報が出た。東日本大震災のあのどす黒い大津波の映像が頭をよぎる。約1時間20分後に解除。明確な津波は観測されなかったと知り、胸をなで下ろした。先月13日には福島と宮城で6強を観測したばかりだ。大きな地震の来る間隔が短い。それが気になる

▼いずれも大震災の余震らしい。10年たってもまだ続くのか。自然の脅威をつくづく思い知らされる。地震の発生分布を黒い点で示した世界地図を見た。日本は塗りつぶされて真っ黒。地震列島に暮らしている事実を突き付けられる

▼大震災を経験したからこそできる社会そして個人の備えがあるはずだ。「日常に埋没し対策を怠ってはいないか」。10年の節目の日を挟んだ二つの地震が警告する。

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