社説:[2021知事選]洋上風力発電 県内企業参入の道探れ

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 本県沖は年間を通じて強い風が吹き、洋上風力発電の国内有数の適地とされる。既に実現に向けた動きが進んでいる。洋上風力を本県の経済活性化、雇用創出にどうつなげるかが大きな県政課題だ。

 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は二酸化炭素など温室効果ガス排出の大幅削減を目指す。菅義偉首相は昨年10月、2050年までに排出量を実質ゼロにすると宣言。政府は「グリーン成長戦略」を策定し、洋上風力を再生可能エネルギーの柱に据えた。

 全国の発電量を40年までに最大4500万キロワットとする目標。こうした動向を追い風に、本県沖の洋上風力をモデルケースとして成功させたい。

 本県沖では「能代市、三種町および男鹿市沖」「由利本荘市沖(北側)」「同(南側)」の3海域が、国が優先的に整備を進める促進区域に指定されている。既に大手電力会社などを中心にした計10事業体が参入を表明。国は30年度までの稼働開始を目指している。

 促進区域に先駆け、秋田港と能代港の港湾区域内で、県内外の計13社でつくる特別目的会社が発電施設の建設を進めている。国内初の大規模商用運転となる見通しで、国内の洋上風力の試金石となる。

 促進区域と両港湾区域以外にも、洋上風力に適しているとみられる海域が2カ所ある。本県沖の可能性の大きさがうかがえよう。

 県の試算によると、これら全ての海域で洋上風力発電が実現すれば建設事業費は計1兆円を超える。そのうち県内企業が受注する可能性のあるのは2600億円超。当面は、この受注を現実のものとするための努力が欠かせない。

 先行する港湾内の事業で県内企業が担うのは主に陸上工事。額は100億円を下回り、総事業費の1割に届かない。風車設置などの海上工事は、経験豊富な欧州の技術者に頼らざるを得ない状況だ。県内企業も海上工事に参入できるよう、人材育成も含めた支援を県に望みたい。

 洋上風力発電は数万点に及ぶ部品で構成され、産業の裾野が広いとされる。政府は40年までに国内における部品の調達比率を60%に引き上げる目標を掲げる。県内企業が参入可能な分野を探り、積極的な施策展開を進めてほしい。

 一方、巨大風車による景観破壊や、風車が発する低周波音による健康被害、野鳥が風車の羽根に衝突する「バードストライク」などを懸念する声は根強い。漁業への影響も不明な点が多い。地域住民の間には計画中止を求める動きもある。

 地球温暖化防止に大きな役割を果たすと期待される洋上風力だが、本県に根付くためには乗り越えるべき課題は数多い。推進に当たっては地域住民との合意形成が不可欠だ。県の果たすべき役割は大きい。

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