社説:[2021知事選]人口減少対策 歯止めかける戦略示せ

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 急速に進む本県の人口減少、少子高齢化にいかに歯止めをかけ、地域での県民の暮らしをどう持続していくのか。その戦略や政策を示すことが何より求められている。

 県人口は今年1月に95万人を割った。2017年4月に100万人を割ってから3年9カ月で約5万人減ったことになる。近年は年間約1万4千人のペースで減少が続いている。

 日本の総人口の減少が続き、東京一極集中が進む。地方の衰退は著しい。しかし人口減少に特効薬はないと諦めてしまえばこの傾向はさらに加速する。

 県はこれまで少子化対策として結婚支援の強化、保育料や医療費の助成の拡充などに取り組んできた。ただ目に見える成果を上げてきたとは言い難い。対策を洗い直し、一層の支援拡充を進めていく必要がある。

 転出者数が転入者数を上回る社会減の半減も目標に掲げている。昨年は新型コロナウイルス禍の影響による転出抑制もあって社会減の縮小傾向が見られたが、この傾向が今後も継続するかどうかは不透明だ。

 若者の雇用確保には産業振興策の役割も大きい。自動車や航空機など輸送機産業の集積が進んでいる。とはいえ若者にとって魅力的な働く場は十分とはいえない。地元産業の育成や支援がますます重要になろう。

 高齢化の進む地域をいかに持続・発展させていくのかという視点も忘れてはならない。今冬、大雪に見舞われた県内では住民主体の共助組織による除雪活動が1人暮らしの高齢者らを支援した。

 災害級の大雪で共助組織の手が行き届かなかった現実もある。除雪事故で多くの高齢者が犠牲になったのは痛ましい。豪雪地帯の安全な生活を支えるのは行政の責任と再確認したい。

 除雪のほか、公共交通機関を補う買い物・通院の送迎、見守り活動など共助組織の果たす役割は大きい。それらは山間地の集落などに限らず、都市部にも共通する課題になりつつある。

 共助組織に対する行政のバックアップ体制の大切さは言うまでもない。高齢化の進む本県だからこそ共助組織が生き生きと活躍する先進地を目指したい。

 人口密集地で拡大するコロナ禍を機に東京一極集中を見直す動きもある。リモートワークの普及により都会の企業で働きながら地方移住が可能な時代。県がこの新しい移住スタイルを積極的に支援するのは当然だ。

 若者の雇用確保やリモートワーク移住には企業の理解や協力が欠かせない。共助組織の活動は地域住民の自主的な参加が頼みだ。人口減少への対応は行政だけでは成り立たない。

 共に人口減少に立ち向かうためには共通理解が必要だ。人口減少に歯止めをかけ、たとえ規模が縮小しても安心して暮らせる地域を維持する―。ビジョンが明確に示され、先行きへの不安を払拭(ふっしょく)することが必要だ。

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