社説:[2021知事選]農業振興 営農継続へ支援拡充を

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 雪国秋田で野菜や果樹、花卉(かき)などの栽培をどれだけ拡大させ、収益性を高めることができるか。コメ依存からの脱却は本県農業の長年にわたる課題だ。

 県は近年、園芸メガ団地の整備を推進。エダマメやシイタケ、ネギなどに力を入れた結果、農業産出額全体を押し上げた。コメ依存脱却は一定の成果を上げつつあるが依然、額では東北最下位。一層の奮闘が望まれる。

 今冬は大雪に見舞われ、昨秋完成したばかりの団地のパイプハウスが倒壊するなどしたほか、果樹の被害も深刻だ。営農継続のための支援策や災害対策が問われる。

 全体の被害実態は雪解けに従って明らかになる。軌道に乗り始めた団地、果樹栽培を確実に継続できるよう手厚い支援が必要なのは言うまでもない。

 大雨や台風などによる自然災害が頻発する現状も認識すべきだ。生産を持続できる恒久的制度の拡充をはじめ、損害を最小限にとどめる栽培技術などのさらなる普及が求められる。

 一方で本県にとってコメが重要な作目であることは変わらない。期待がかかるのが2022年度に市場デビューする県の新品種サキホコレだ。

 各地のブランド米競争が激化する中、評価を確立するのは容易ではない。栽培管理を徹底して品質を維持しつつ、食味の良さをどう伝えるかが問題だ。

 新型コロナウイルス感染拡大で外食需要が低迷、コメ余りとなっている現状もある。その中で評価を確立できれば秋田米全体の地位を押し上げることになるのではないか。その点も含めて販売戦略を練り上げたい。

 農業従事者は高齢化が進む一方、担い手不足も深刻だ。本県の19年度新規就農者は241人で平成以降最多となったが、不足を補うには遠く及ばない。

 意欲的な担い手を増やすには参入のハードルを下げることも大切だ。そのためには情報通信技術(ICT)によるスマート農業の積極導入を考えたい。

 自動コンバインによる収穫やリモコン草刈り機による除草などの研究が進む。農地が集約されて大規模化が進む中、実用化できれば経験の少ない人も参入しやすい。農業県としてこの分野にもっと力を注ぐべきだ。

 中山間地対策も欠かせない。農業は小規模経営であっても、人がそこに定住して農地を保全し、地域社会を維持する重要な機能を持つ。過疎対策として力を入れなければならない。

 食料安全保障の面からも農業を見直したい。新型コロナは人口が密集する大都市のもろさを露呈した。そこで考えたいのは移住と組み合わせた対策だ。

 例えば本県に移住することを前提に、就農希望者を呼び込む取り組みをもっと大胆に進めてはどうか。リスク分散を図る一方、「食」を支える食料供給基地としての地方の役割を高める。東京一極集中是正の観点からも本県農業を再構築したい。

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