時代を語る・駒場ハツヱ(1)今も現役美容師です
昭和30年代から県内で美容院を経営し、後進育成にも努めたほか、美容技術を生かした舞台公演の制作にも取り組んできた駒場ハツヱさん(88)に来し方を語ってもらいます。
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10代で美容師の道に進み、20代の時に独立して秋田市の秋田駅前、広小路などで「アートビューティ コマバ」という名前の美容院を営んできました。今は保戸野通町にお店があり、後を継いでくれた次男が社長を務めています。私は今も現役で、ちょくちょくお店に出ています。
美容院というサロンの中で、お客様のご希望を伺い、より美しくなって、満足してお帰りいただくのが美容師の仕事です。お金を頂いているのに、お客さまに「ありがとうございました」と言ってもらえる職業って、ほかにはそんなにないですよね。
本業の傍ら、力を入れてきたのが舞台制作です。美容師ならではの華やかな舞台を目指し、昭和45(1970)年、38歳の頃から「美容劇」と銘打って続けて来ました。「文学の中の女たち」というシリーズで、「源氏物語」や泉鏡花の戯曲「海神別荘」などをアレンジするわけです。脚本、演出、衣装のコーディネートを私が手掛けて、県内のバレエ、日本舞踊といった団体の皆さんに演じていただく形です。秋田市芸術祭で毎年発表してきました。
おかげさまで、美容界から芸術文化の発展に寄与したとのことでいろいろな賞を頂き、「平成近松恋物語」という作品は平成28(2016)年度の県芸術選奨を受賞しました。
残念ながら昨年は新型コロナウイルスのため、発表の機会は得られませんでした。江戸時代の絵画の流派「琳派(りんぱ)」をモチーフにした美容劇を予定して脚本も仕上がっていたんですが、残念です。今は来年の「あきた芸術劇場」オープンが楽しみ。ここで公演するのが待ち遠しいですね。