社説:東北DC開幕へ 誘客と感染対策両立を

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 東北6県とJRグループなどによる大型観光企画「東北デスティネーションキャンペーン(DC)」が4月1日、スタートする。期間は9月末までの半年間。2011年の東日本大震災から10年の節目に合わせ、観光で東北をさらに元気にすることを目指す。

 期間中はJRグループ6社が東北のPRに力を入れ、多彩な旅行商品を売り出す。国内外に東北の復興と観光地の魅力を発信する貴重な機会となる。各県の観光振興を図るためにも、この機会を十分生かしたい。

 ただし、新型コロナウイルスの感染収束が見通せない異例の状況下のDCである。人の移動には常に感染拡大のリスクが伴う。東北各県やJRグループは感染防止に万全を期さなければならない。

 宮城、山形両県は現在、感染者の急増を受けて4月11日まで独自の緊急事態宣言を出している。このため6県などでつくる東北DC推進協議会は秋田、仙台、山形、福島の各市で4月3日に予定していたオープニングセレモニーや東北周遊列車の運行など4月の一部イベントを中止、延期した。秋田県は当面の間、誘客に向けた積極的なPRを休止する。感染拡大を防ぐためにはやむを得ないだろう。

 期間中は東北各地で観光列車の運行や関連する各種ツアー、イベントが行われる。旅行客や宿泊施設に3密回避や手指消毒などの徹底を求めることはもちろんだが、感染状況を踏まえてその都度、実施の可否を慎重に判断することが必要だ。

 「巡るたび、出会う旅。東北」をキャッチフレーズに、各県の観光コンテンツを「花」「自然・絶景」「歴史・文化」「酒・食」「温泉」「復興」の6テーマにまとめ、東北の魅力として発信。各地で市町村や観光団体などが連携し、食文化体験、桜や滝のライトアップ、水族館のナイトツアーなど地域の観光資源を生かした約200の特別企画を実施する。

 コロナ禍の中で、少人数による自然体験型の観光が注目されている。東北は登山や渓流歩き、カヌー体験など「密」にならずに楽しめる観光素材が豊富だ。これらを生かして魅力的なツアーをつくり、東北で一体的に売り込みたい。

 本県では、アジサイで知られる男鹿市の雲昌寺で密を避けながら早朝見学をしたり、森吉山周辺の宿泊施設で星空観察を楽しんだりする企画が用意されている。この機会に官民の連携を強め、コロナ禍でも安心して訪れられる観光資源を可能な限り掘り起こし、楽しみ方を積極的に提案していきたい。

 旅行客の減少で宿泊施設や飲食店、土産物店などの観光関連事業者は苦境下にある。低迷する経済を下支えするためにも、できれば一人でも多くの観光客を呼び込みたい。感染防止と誘客を両立させるため、ここが知恵の絞りどころである。

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