社説:21年県産米 需給見据えて作付けを

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 県産主食用米の2021年6月末時点の在庫量は15万5千トン超と推計され、適正とされる12万トンを大きく上回る見通しだ。全国的にも在庫が膨らみ、供給過剰が懸念されている。農作業が本格化する前に生産者はいま一度、主食用米を飼料用米などに用途変更することができないか検討してほしい。

 全国的な在庫量の増加は、消費者の間で進む「コメ離れ」に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響で外食需要が落ち込んだためだ。過剰な供給は米価の下落を招き、生産者の収入減に直結する。農業の活力が低下することは、地域の衰退にもつながりかねない。

 県や農業団体などでつくる県農業再生協議会は、在庫量を適正値に近づけるため、21年産主食用米の生産目安を前年比1万5千トン減の39万トンに決めた。作付面積に換算すると6万7826ヘクタールとなる。

 生産目安は生産調整(減反)が廃止された18年産から導入された。ただし強制力はなく、生産者の協力が鍵を握る。

 実際の作付面積は毎年目安を上回っており、超過面積も拡大傾向にある。20年産の生産目安は作付面積にして7万680ヘクタールだった。しかし、実際の作付面積は4620ヘクタールも超過した。こうした状況を踏まえると、21年産の生産目安を実現するのは決して容易な道のりではない。

 県は21年度、国の制度を利用した補助事業を実施し、主食用米から飼料用米への転換を促している。作付転換面積に応じて助成金を交付し、20年産主食用米と同程度の収入を確保する仕組みだ。

 この補助事業では、仮に21年産主食用米の価格が20年産米より下がった場合、飼料用米に転換した方が生産者の収入は高くなる。手厚い支援策と言えるが、その背景には国や県の危機意識がある。

 農林水産省は21年産主食用米について、20年産の生産量に比べて約30万トン減らす必要があると試算している。野上浩太郎農相は「これが実現できなければ需給と価格の安定が崩れ、危機的な状況に陥りかねない」と述べている。

 農水省は転作助成の柱である「水田活用の直接支払交付金」と主食用・非主食用米の販売代金を、JAなどが一括して計算できるようにした。コメの用途変更促進のため生産者に適切な情報を提供するのが狙いだが、JAの事務負担が大きく、県内では導入が進んでいない。負担軽減に向け、手続きの簡素化を求めたい。

 国内の需要減という当面の困難を乗り切るために国、県の制度を活用することは欠かせない。だが本県は米作県として、自ら需要を掘り起こし、併せてコメ偏重から脱却する努力も求められる。アジアをはじめとする海外への輸出増加や大豆、野菜の生産拡大など、あらゆる可能性を探ってほしい。

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