北斗星(4月8日付)

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 太軸の万年筆を取り出す。ペン先も太字。インクの色は紺ではなく深緑がいい。便箋選びにも気を配る。インクのにじみ具合はどうか。手紙を書く際は準備の時からささやかな楽しみがある

▼いつものボールペンに手近な便箋で済ませることも再三だ。いずれにせよ、大切なことがある。相手のことを思い浮かべ、口にするのが難しい気持ちを一字一字に託すことだろう。時には手を止めて何度も考えながら…

▼電子メールでのやりとりが全盛の今日、どれだけの人が手紙を書いているのか。そう思っていたら最近になって見直されているようだ。外出自粛などにより直接向き合って言葉を交わし心を通わせる機会が減っている。そこで手紙の登場ということらしい

▼休止した宮城県内の子ども食堂は毎月1回、利用者と文通した。返信用はがきや折り紙を同封。たどたどしい字で再開を願う返事などが子どもたちから届いた。家にこもりがちな高齢のボランティアにとって文通が生きがいとなった

▼十数年ぶりに米国から便りがあった人もいる。中学生の時に雑誌で文通相手募集を知り、英語でやりとりを始めた北秋田市の女性だ。昨年末に突然、エアメールが届いた。「コロナ禍で世界が混乱する中、彼女が異国の私を忘れずに気に掛けていてくれた」と、本紙「えんぴつ四季」につづっていた

▼もらった文は何度も読み返す喜びがある。肉筆からは人柄も垣間見える。手紙全体がその人からのメッセージなのだろう。

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