社説:ヤングケアラー 相談・支援体制構築急げ

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 病気や障害のある家族の世話をする18歳未満の子どもは「ヤングケアラー」と呼ばれる。厚生労働省と文部科学省による初の実態調査で「世話している家族がいる」という中学生は5・7%、高校生が4・1%だった。中には公的支援が必要なケースもあるとみられる。速やかに手を差し伸べる仕組みが必要だ。

 ヤングケアラーは英国で生まれた言葉だという。大人が担うような家事や家族の介護を日常的に行っている子どもを指す。学業や進路への影響のほか、健全な発育や人間関係の構築を阻まれることも懸念される。

 今回の調査で世話をしている対象は多い順にきょうだい、父母、祖父母。世話をする頻度は半数弱が「ほぼ毎日」。1日に費やす時間は平均で4時間ほどで7時間以上が1割いた。

 このうち1~2割が「精神的にきつい」と回答。「睡眠時間を削っている」「宿題や勉強ができない」「余裕がない」など悲痛な声が寄せられている。

 6割超が誰にも相談したことがない点は気掛かりだ。学校も中高生の悩みを十分把握できていないのではないか。国は相談窓口の拡充を急ぐ必要がある。同時に支援が必要な子どもに福祉サービスを届ける対策を早急に整えなくてはならない。

 国に先んじてこの問題に取り組み始めた自治体もある。埼玉県は昨年3月、障害などがある家族を世話する人を支援する条例を全国で初めて制定。ヤングケアラー経験者に高校や中学で体験談を話してもらう「出前授業」なども計画中だという。中高生や教師がこの問題について理解を深めることは大切だ。

 本県では本年度から、「ケアラー(家族介護者)」支援を本格的に始める。実態調査と啓発事業を実施し、相談体制を構築する方針。「老老介護」支援を含め、家族介護全体を支えようとしているのは高齢化が進む本県に必要な視点だ。

 注目されるのは若い世代を対象にした相談体制づくり。会員制交流サイト(SNS)を活用する予定だ。このほかオンラインで当事者が交流できる場を提供する計画もある。子どもが同じ悩みを抱える同年代と語り合う場があれば、精神面でプラスに働く効果が期待できそうだ。

 家庭と学校で子どもを見守る大人の目も大切になる。家庭における家族の介護や支援についてはケアマネジャーらが詳しいだろう。学校での子どもの様子を最も把握しているのは教師だ。双方が情報共有できる仕組みが求められる。それにより教育と福祉の連携強化が図られるはずだ。

 「家族のため」と、手に余る介護や世話に明け暮れ、将来の夢を諦めざるを得ない子どもたちが現在も少なからず存在する。それを放置するのは社会にとって大きな損失だ。ヤングケアラーの認知度を高め、即効性ある相談・支援体制の構築を急がなくてはならない。

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