社説:柏崎刈羽・運転禁止 ずさんな対策許されぬ

お気に入りに登録

 新潟県の東京電力柏崎刈羽原発が、原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けた。原子炉等規制法に基づく極めて重い措置であり、規制委が商業炉に出したのは初めてだ。

 原子炉は7基あり現在は全てが停止中。うち6、7号機は2017年に再稼働へ向けた規制委の審査に合格、東電はまず7号機の再稼働を目指していた。

 禁止期間は、「自律的な改善が見込める状態」と規制委が判断するまでだ。この文言は「現状では自律的な改善能力がない」と断じているに等しい。

 規制委はなぜ、これほど厳しい措置に踏み切ったのか。東電のずさんなテロ対策を見れば、当然の結論と言うほかない。

 テロ目的などでの侵入を検知する設備が15カ所で故障し、代替措置も不十分だったことが今年2月の規制委の抜き打ち検査で判明。前月には、IDカードの不正使用による中央制御室への入室も発覚していた。

 このような抜け穴だらけの状態では、テロリストが侵入することもあり得たのではないか。破壊行為による事故が起こる可能性や、放射性物質が盗み出される恐れがなかったとは決して言い切れない。

 実際、16年のベルギー同時テロでは放射性物質入手のため、容疑者らが原発を標的にしていた痕跡が見つかった。国際社会がこうした核テロへの警戒を強める中、東電はどれだけ危険性を認識していたのか。

 東電は福島第1原発で過酷事故を引き起こした当事者だ。この事故では、今も多くの人が福島県内外で避難生活を余儀なくされている。その事実と併せて考えれば、そもそも再稼働する資格があるのか疑わしい。

 再稼働を妥当とした判断を評価し直すよう知事が規制委に注文したのはもっともだ。自民党県連幹事長に至っては「運転する適格性がないというのが県民の総意」と言い切った。

 東電は、こうした声と禁止命令の重さをしっかりと認識すべきだ。放射性物質という危険物を取り扱っている重い事実を常に忘れず、テロ対策と社員らの教育を徹底する必要がある。同時に地元の信頼回復に力を尽くさなければならない。

 安全対策に対する東電の意識の低さは、柏崎刈羽原発だけに限らない。処理水の処分に揺れる福島第1原発でも今年に入り不備が明らかになっている。

 福島・宮城両県で最大震度6強を記録した2月の地震では、故障した地震計の放置によりデータが取れなかったことが発覚。処理水タンクの位置が50基以上でずれる問題が起きても迅速に公表しなかった。

 そこには、積極的に情報発信して信頼を得ようとする姿勢が見えない。テロ対策も処理水の処分も、本来は当事者である東電が責任を持って主体的に取り組むべき問題だ。そのことを東電の経営陣は再認識しなければならない。

秋田の最新ニュース