北斗星(4月17日付)

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 小間物屋の男性が商売の長旅から自宅に戻ると、旅先で亡くなったことになっていた―。講談「万両婿(まんりょうむこ)」の主人公の話だ。その後さらに不幸は続き妻と別れ、店を手放すことになるが、最後は大岡越前守の名裁きで大団円を迎える

▼人気講談師の神田伯山さんが、秋田市での独演会で披露。新型コロナウイルス対策として検温を受けるなどしたマスク姿の聴衆を前に、張り扇と扇子で台をたたき、話に緩急や強弱をつけて引き込んでいった

▼次の話も不幸の後に幸福が訪れる展開。最後は「禍福はあざなえる縄のごとし。今、新型コロナで大変な状況ですが、悪いことがあれば必ずいいことがあります」と締めくくった。この日の演目に込めた思いが伝わってきた

▼独演会後の今月12日、県内で感染者数が増加していることから、県は感染警戒レベルを「2(強い注意喚起)」から「3(協力要請)」に引き上げた。県外との不要不急の往来自粛などを呼び掛けている

▼感染拡大により各地の催しが延期や中止、規模縮小になるなど影響が出ている。感染拡大の収束が見通せず、ストレスを感じることもある。そんな時は伯山さんの言葉を思い出してみるのもいいだろう

▼高齢者を対象としたワクチン接種が全国各地で始まり、県内の市町村でも順次進められている。ワクチンは感染収束への鍵とみられており、希望者への接種が一日も早く終わることが期待される。接種の広がりが「いいこと」への始まりだと信じたい。

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