ローカルメディア列島リレー(20)得丸成人
全国のローカルメディアの作り手が、ローカルならではのメディアの形や取り組みについて綴るリレーエッセイです。紙もウェブも、看板やアートプロジェクトだって「ローカルメディア」に?! 特色あるローカルメディアの担い手たちのアイデアと奮闘の記録です。
畑違いがイノベーションを起こす
香川県で「FURIKAKE」というヘンテコな名前のブランドを運営しています。「こういうのを作ると楽しいよね」が僕のトリガー。自称「面白クリエーター」です。
ものづくりのきっかけは、瀬戸内国際芸術祭を訪れる「カメラ女子」たち。一様に黒いカメラに黒いストラップなのが、せっかくの服と合っていないと感じました。調べると市場に女性向けのソリッドなモノがない。そこで「カメラストラップを可愛くするには?」と頭をひねりました。色は主張しすぎるくらい派手で可愛く、シンプルですがキレッキレな組み合わせを探究しました。2014年に女性7人からなる「小豆島カメラ」のチームストラップを作ったことを皮切りに、カメラグローブやカメラボディバッグなどカメラ関連のアクセサリーを展開。滋賀県の長浜や青森県の弘前でもオリジナルのカメラストラップを作らせていただきました。この経験をベースに、現在はバッグや手袋、他社製品の開発にも関わっています。
実は香川県は国内製手袋生産が日本一。工場が身近にあり、優秀な職人もいます。でも新しいものをつくろうと相談すると最初はだいたい「できるかできないか分からない」と曖昧な答え。素材や機材を自分で集め「こうしたらこうなったんだけど……」と持っていくと「どれどれ?」と動き始めます。違う畑の人間が客観的に意見を言うことで、ものづくりにイノベーションが起こる。一本のカメラストラップがそれを教えてくれました。起点は地方でもグローバルを目指し、常に何かできないかを探り、他力とengage※ して発信すれば、もっと“オモシロ” は生み出せる! ハズです。
※engage:関わる、より理解するために触れあう、歯車がかみ合うこと
得丸成人|デザイナー
1975年香川県生まれ、視覚デザインからプロダクトまで「つくる」に携わるデザイン思考の職人。2013年からは地元の様々な業種の自社ブランドの企画・設立をサポートをしてきた。現在、デザイナーでいながら2020年に自社ショップKOTOMATH を設立。小売も開始した。