社説:コロナ解雇急増 支援策を後退させるな

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 新型コロナウイルスの感染拡大による解雇や雇い止めが、見込みを含めて累計10万人を超えた。昨年2月に厚生労働省が集計を開始。昨年10月からペースは鈍化していたが、3月に入って急増している。雇用情勢は深刻さを増しており、支援策の強化が急務だ。

 内訳は製造業の約2万人が最も多く、小売業、飲食業、宿泊業が各1万人台で続く。苦戦している業種は固定化しており、集中的な支援が求められる。

 全国のハローワークなどを通じて把握したもので、実際はもっと多いとみられる。野村総合研究所は、勤務時間が5割以上減少し休業手当を受け取っていない人が2月時点で女性103万人、男性43万人に上ると推計。総研は「実質的失業者」と位置付けている。

 厚労省の集計を都道府県別に見ると、東京が2万人超と突出しており、大阪の約9千人がこれに続く。政府は3度目となる緊急事態宣言を東京、大阪などに近く発令する方針。感染力が強い変異株は全国的に広がっており、今後、雇用情勢が好転するとは考えにくい。

 にもかかわらず政府は、雇用調整助成金の特例措置を5月から段階的に縮減する方針だ。助成金は、休業を余儀なくされた企業が従業員に休業手当を支払う際、国が費用を補填(ほてん)する仕組み。昨年の感染拡大に伴い拡充し1人日額1万5千円を上限に最大100%を助成している。

 原則として雇用保険から払われているが、財源不足で税金が一部投入されている。支給決定額は3月中旬までに3兆円を超えた。

 特例措置の見直しでは今年5月から原則上限1万3500円とし、最大助成率も引き下げる。7月以降はさらに縮減する予定だ。政府が支援を縮小する背景には財源の逼迫(ひっぱく)がある。

 感染拡大に伴って雇用情勢が厳しさを増す中、支援を縮小することは果たして妥当なのか。助成金で雇用を守ってきた事業者が今後、解雇や雇い止めに踏み切ることもあり得る。

 雇用維持のためにはむしろ、さらなる国費の投入が必要だ。財政全体のバランスに配慮しながら他で抑制すべきは抑制し、政府は今以上に手厚い支援に乗り出すべきだろう。

 新たに働く場を確保するための支援も必要だ。政府は、勤め先と雇用契約を維持したまま従業員が人手不足の他社で働く「在籍型出向」への支援を始め、出向元や出向先に助成金を出している。こうした制度の拡充にも力を入れてもらいたい。

 解雇や雇い止めの半数近くが非正規雇用労働者である点も見過ごせない。立場の弱い人たちを「雇用の調整弁」とすることがあってはならない。

 菅義偉首相は就任時「自助、共助、公助」の大切さを強調した。「第4波」に入った今こそ、手厚い公助の手を差し伸べるべきだ。

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