社説:3度目、宣言発令へ 抑制には目標値不可欠

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 政府は東京、京都、大阪、兵庫の4都府県に緊急事態宣言を発令することを決めた。新型コロナウイルス特別措置法に基づく決定で、3度目となる。

 あす25日から来月11日までの17日間。大型連休を中心に短期的、集中的に対策を講じ感染の再拡大を抑制するのが狙いだ。だが、この期間で十分な効果を上げられるのかは疑問だ。

 まん延防止等重点措置の適用から2週間ほど。主に飲食店へ営業時間短縮を要請してきたが、2月に新設したばかりの措置は早くも限界を露呈した。

 発令を受け、さらに強い措置が取られる。▽酒類やカラオケを提供する飲食店、百貨店など大型施設(生活必需品売り場除く)への休業要請▽交通事業者への平日の終電繰り上げ依頼▽路上での集団飲酒への注意喚起―などが想定されている。

 対象地域の状況は極めて厳しい。病床は逼迫(ひっぱく)し、大阪では中等症病棟などで重症者を治療せざるを得ない事態となっている。自宅療養中に重症化する事例も増えているとみられる。

 大阪や兵庫で感染力の強い変異株が感染者の8割を占めていることも懸念される。大都市で抑え込めなければ、高齢者の多い地方に飛び火し拡大する恐れもある。最悪の場合、全国で爆発的感染が起こりかねない。

 これまでのような対策で、変異株の感染拡大をどれだけ抑制できるかは不透明だ。まず、3度目の宣言のためインパクトを欠く。「宣言慣れ」もあり、人と人との接触機会を減らすことが本当にできるのかどうか。

 強い措置であることから事業者にとってダメージが大きく、雇用状況をさらに悪化させる可能性もある。このため、宣言を発令する政府が責任を持って支援するのは当然だ。

 それだけでは足りない。十分な協力を得るには、解除の目標値を分かりやすい形で事業者や国民に随時発信し、納得してもらうことも欠かせない。

 そのためには、休業などに伴う社会の経済損失、接触機会抑制による感染者数低減などをシミュレーションして数値で示すことができないものか。損失はこれだけ出るが感染者は減り、宣言解除後に社会活動が再開できるとの見通しがあれば、協力を得やすくなるに違いない。

 昨春以降の対策の検証も不可欠だ。どの対策が有効で、どこに問題があったかを政府は誰の目にも分かるように示すべきだ。宣言との違いが分かりづらい重点措置についても同様だ。

 より効果のある対策はないのか、科学者の結集を図り研究することも必要なのではないか。いずれ、検証なき対策ではその場しのぎに終わりかねない。

 接種が始まって間もないワクチンはいつ国民に行き渡るか依然見通せない。菅政権はワクチンの確保・接種に全力を挙げるとともに、専門家の厳しい声にも耳を傾け、さらに有効性のある対策を打ち出すべきだ。

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