社説:子どもの交通事故 ルール守る意識新たに

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 県内でこの春、子どもが巻き込まれる交通事故が相次いでいる。多くは道路を横断中に起き、中には横断歩道を渡っていた女子中学生がはねられて亡くなる事故もあった。ドライバー側はもちろん、子どもたちと周囲の大人が交通ルール順守と事故防止への意識を新たにしたい。

 今年1月以降、今月19日までに県内で発生した中学生以下の子どもの交通事故は10件で、8件が3月以降に集中している。内訳は小学生8人、中学生1人、幼児1人だった。

 10件中8件が道路を横断中に起きた。うち3件は横断歩道を渡っている子どもが遭った事故で、今月19日には由利本荘市岩城勝手の国道7号で横断歩道を渡っていた中学2年生の女子生徒(13)が路線バスにはねられて死亡した。

 10件という発生件数は、過去5年の同期比で最多。中学生以下が亡くなった事故は2014年3月に大館市で起きて以来、7年ぶりとなる。広く県民が危機感を持って受け止めるべき事態といえる。

 子どもの交通事故が道路を横断中に多く起きるのは、全国的な傾向だ。警察庁の13~17年の統計では、死傷した小学生2万6150人のうち、道路を横断中だったのは1万8841人で約7割を占めた。そのうち、横断歩道の事故では7364人と約4割に上った。

 横断中の事故は、飛び出しによる場合が多い。子どもは背が低く、見える範囲が大人より限られるため、周囲の状況を確認しにくい。安全かどうかの状況を判断する能力がまだ十分に備わっていないことなども含め、子ども特有のリスクがある。ドライバー側は子どものこうした特性を頭に入れた上で運転しなくてはならない。

 道路交通法は、横断歩道では歩行者優先と明記。明らかに歩行者が横断歩道付近にいない場合以外、ドライバーは手前ですぐに停止できるように減速することを定める。

 しかし、日本自動車連盟(JAF)の昨年の調査では、信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしている際に一時停止した車の割合は、県内では21・8%。8割弱の車は一時停止義務を怠っている実態が浮かび上がった。

 これでは子どもの急な飛び出しが深刻な事故に直結しかねない。横断歩道での歩行者優先は「マナー」ではなく「ルール」であることを、全てのドライバーが再認識する必要がある。

 大人が子どもたちに身をもって規範を示すことも大切になる。それは身近にいる親や祖父母、近所の住民などの役割だ。

 横断歩道のない場所では無理に道路を渡らない、車が来ないからといって赤信号で渡らない、横断歩道であっても左右を確認して渡る―。そうした基本的な行動が子どもたちの交通ルールへの意識を形成する。大人はそれを忘れてはならない。

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