社説:県北、新品種米試験 推奨地域編入へ全力を

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 県の新品種米「サキホコレ」の2022年度市場デビューを前に、作付け推奨地域から外れた県北などでJAによる栽培試験が始まった。3年間栽培して食味や品質などを確認し、推奨地域への編入を目指す。県の定める高い品質基準を連続してクリアするという難しい挑戦になるが、栽培管理などに全力を注ぎ編入を実現してほしい。

 県秋田米ブランド推進室によると、栽培試験を行うのは県北の5JA15地区、県央・県南の4JAと1法人の17地区。このうち、JA秋田やまもと(本店三種町)は3地区で実施。「農家の期待が高かっただけに、推奨地域から外れて残念」と編入を目指す。JAあきた白神(本店能代市)は5地区で試験を行い、「減農薬も求められるため誰でも栽培できるわけではないが、チャレンジしたい」と意欲を見せる。

 サキホコレは、あきたこまちより成熟(登熟)期が10日以上遅い晩生種。推進室によると、稲の穂が出る盛夏の出穂期から、実が成熟するまでの気温条件が食味や品質を左右する。このため県は、出穂期から40日間、1日の平均気温が「22度以上」になる地域を作付け推奨地域に選定。昭和の大合併前の旧市町村単位で県央、県南の133地域を指定した。

 サキホコレは極良食味米として、県が全国のトップブランドに育てることを目指す新品種だ。食味のばらつきを抑えて高品質のコメだけを流通させるため、気温条件で栽培地域を線引きするのはやむを得ない。

 その一方、鳴り物入りのデビューとなるだけに農家の期待は大きい。サキホコレを栽培できれば地域で生産するコメ全体のイメージアップも期待される。編入に向け試験に当たる各JAは地形や水系といった地域の特性も考慮しながら、栽培可能な地域を広げていってほしい。

 推進室や県農業試験場によると、推奨地域外で栽培するには、登熟までの気温条件を確保するため早めの田植えが求められる。ただし、早過ぎても駄目で、長期予報などもにらみながら時期を探る必要がある。

 生育が遅れないような水管理や刈り取り適期の見極めといったこともポイントになる。また、高単価が見込まれるとはいえ、農家経営のためには一定の収量も必要だ。もみ数をうまく管理することが食味の向上にもつながるとされることから、品質と収量の両立を図りたい。

 気温条件を技術力などでカバーしながら、食味や等級などの基準を3年間クリアするのは簡単なことではない。だが実現できれば、標高などを考慮した上で、試験圃場のある集落に加えて近隣集落などが推奨地域に編入される見通しだ。

 栽培試験に当たる各JAと農家は緊密に連携しながら、これまで培った栽培のノウハウや知識を総動員し、編入にチャレンジしてもらいたい。

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