北斗星(4月30日付)

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 江戸後期の紀行家・菅江真澄の旅日記「雪の秋田根」には、森吉山に登った際、灯火用の「竹」を切る人たちの小屋を見掛けたことが記されている。本紙に「菅江真澄 旅の伝記」を連載したドイツ文学者の故・池内紀さんによると、この竹はネマガリダケだ

▼「乾燥させると軽くて持ち運びしやすく、油を含んでいて燃えやすい」ため、鉱山の坑道で「灯(とも)し竹」として重宝された。煙が出にくく、においがしない点も灯火とするのに適しているという

▼ネマガリダケといえば、何といっても山菜として食すのが一番。用事のついでに秋田市の秋田市民市場へ立ち寄ったところ、まだ早いと思っていたネマガリダケのタケノコが並んでいた。山形県の羽黒山の産と表示した店もある。南の地方からシーズンが到来しつつあるのだろう

▼値は張ったが食い意地は抑え難かった。早速、みそ汁にして味わった。独特のだしと歯ごたえ、香りを楽しみ、山の恵みに感謝した

▼県内のタケノコ採りが本格化するのは大型連休が明けるころか。今から山に出掛けるのを楽しみにしている人は少なくないだろう。自分で採ったばかりのものを食べる時の満ち足りた喜びは何物にも代え難い

▼一方で毎年心配なのが山菜採りの遭難だ。クマ被害も何とかなくせないものか。ネマガリダケが大好物なのはクマも同様。タケノコ採りに夢中になっているうちに鉢合わせしないよう、出掛ける前には人の存在を知らせる鈴などの用意を怠りなく。

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