社説:温室効果ガス削減 目標実現へ具体策示せ

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 菅義偉首相は、日本の温室効果ガス排出量を2030年度に13年度比で46%減とする新たな目標を示した。バイデン米大統領が主催した気候変動サミットで表明。従来の26%減から大幅に引き上げた。加えて50%に向けた挑戦を続ける意欲を示したが、まずは46%減らすための具体策を示すことが必要だ。

 地球温暖化防止の国際枠組みであるパリ協定は、産業革命以来の気温上昇を1・5度に抑えることを目指す。この目標に向け、菅首相は昨年、50年までに国内の温室ガス排出を実質ゼロにすると宣言した。

 サミットで米国は30年に05年比で50~52%減と、従来の目標を大幅に上積みした。欧州連合(EU)は30年までに1990年比で少なくとも55%減、英国は35年までに90年比78%減を目指す。これらと比べると日本の目標は決して高くない。

 それでもあと10年足らずで46%減を達成するのは簡単ではない。19年度の温室ガスの排出量は13年度比で14%減。大幅削減には化石燃料依存をやめ、再生可能エネルギー拡大と省エネを徹底的に進めなければならない。

 早急に取り組まなければならないのが電力の脱炭素化だ。19年度の国内電源構成は火力75・7%、再生エネ18・1%、原子力6・2%。太陽光や風力など再生エネは年々伸びているものの、二酸化炭素(CO2)の排出が多い石炭火力発電への依存度は依然高い。

 政府は石炭火力で発電効率が悪い施設を休廃止しつつ、高効率の設備を温存する方針。だが、これで大幅な削減につなげられるかは見通せず、見直しが求められる。

 発電時にCO2を排出しない原子力に期待する声もあるが、現実的ではない。11年の東京電力福島第1原発事故により原発に対する国民の目は厳しい。CO2削減を理由に、なし崩し的に稼働を進めるべきではない。

 このほか、脱炭素に向け産業構造の転換や新技術の開発が迫られている。政府は「グリーン成長戦略」を打ち出し、自動車の電動化や水素の利用拡大などを進める。インフラ整備など課題は山積しているが、雇用創出の好機としたい。

 政府はCO2に課金して排出量の削減を促す「カーボンプライシング」の検討も始めた。削減効果を高めたい環境省と、企業の競争力を重視する経済産業省が手法を巡って綱引きしているが、実効性を重視してほしい。

 欧米では脱炭素に消極的な国からの輸入品に「国境炭素税」を課す動きもある。日本の取り組みが遅れ、企業の国際競争力が損なわれるようなことがあってはならない。

 地球温暖化による気候変動は、人類の存続に関わる大きな問題だ。温室ガス削減に各国の本気度が試されている。日本をはじめ各国が連携し、全力で取り組むべきだ。

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