社説:あす憲法記念日 再確認したい人権尊重

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 日本国憲法の施行からあす3日で74年を迎える。コロナ禍の収束がいまだ見通せない中、昨年に続いて憲法が保障する自由や権利が制約される中での憲法記念日となる。

 危機下であっても「基本的人権の尊重」など憲法の基本原理の重要性に変わりはない。そのことを再確認する日にしたい。

 政府は昨年4月以来、緊急事態宣言を繰り返し発令。東京など4都府県では現在、3度目の宣言が出されている。

 この間、不要不急の外出自粛や、各種イベントの中止、飲食店の営業時間短縮などが要請され、国民生活や経済活動は制約を受けてきた。こうした権利制限が合理的で必要最低限なものかを常にチェックし、改善を重ねていくことが必要だ。

 新型コロナウイルス対応の改正特別措置法では、都道府県知事の命令を拒んだ事業者に過料を科せるようになった。「営業の自由」を保障する憲法に反するとして、東京都に損害賠償を求めて提訴した事業者もある。

 十分な感染防止対策をしている事業者に過剰な規制をすれば、違憲の疑いが生じるとする憲法学者の指摘がある。慎重な法運用を求めたい。

 解雇・雇い止めで困窮する人が増加している。憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を守るためにどんな施策を講じるかが問われる。

 自民党や自治体首長の中には新型コロナ対策のために個人の権利をさらに規制する法整備や、憲法への緊急事態条項創設を求める声がある。緊急事態条項は大災害時に内閣の権限を強化する内容だが、恣意(しい)的な運用につながりやすいなどと疑問視する声も多い。コロナ禍に乗じた拙速な動きは控えるべきだ。

 専門家からは、安倍前政権や菅政権が憲法や法をないがしろにしているとする批判がある。そうした政治姿勢の出発点とされるのが2016年施行の安全保障関連法だ。

 歴代政権が憲法9条の下で許される自衛権の範囲を超えるとして行使を禁じてきた集団的自衛権について、前政権は行使できるとする解釈変更を閣議決定し、法を成立させた。専門家の間では違憲とする声が根強い。

 菅義偉首相は日本学術会議の会員任命を拒否。憲法が保障する「学問の自由」を侵害しているとの指摘に対し、説明を拒み続けている。一方的に自らの方針を押し通すのは民主主義に反するのではないか。

 米中対立が深まる中、政府は台湾海峡で有事が発生した際の自衛隊活動に関し安保法運用の本格的検討を始めた。違憲の疑いが指摘される法により、日本がなし崩し的に武力行使に突き進むことはあってはならない。

 コロナ禍、米中対立などの困難に直面する今こそ、基本的人権や平和主義など憲法の原理の重要性は増している。国家権力は憲法に縛られるという「法の支配」の徹底が求められる。

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