社説:デジタル端末配布 有効な活用方法を探れ

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 学校現場での本格的な情報通信技術(ICT)の活用が本年度から始まる。「ICT元年」と呼ばれ、全国の小中学生全員に行き渡るデジタル端末をどのように有効活用していくかが問われる。

 国は2019年度、教育現場でのICT利活用が遅れていることから「GIGAスクール構想」をスタートした。全国の小中学校に児童生徒1人1台分のデジタル端末を配布するとともに、学校内の通信ネットワークを整備するものだ。

 県内では3月末までに全ての小中学校への配布が完了した。本県では独自の取り組みとして、県立高校についても生徒全員分の端末を用意した。ただし、これはあくまでもハード面の話にすぎない。

 現場の教師からは、新たな取り組みに伴う負担増への危惧や、機器に不具合が生じた際の対応への不安の声などが聞かれる。特に、日常的に使いこなしているわけではない教師であれば、ハードルの高さを感じる向きも少なくないかもしれない。

 しかし先進国では既に、ICT機器は学習の際の基本的な道具の一つという位置付けが広がり、さまざまな使われ方がなされているという。今後、社会のあらゆる分野でデジタル化が進んでいくことは避けられないだろう。時代の変化に合った学習環境を整えるのは大人世代の責務と言っていい。

 ただし学校現場だけにその責任を負わせるわけにはいかない。活用方法を検討して具体的に教師らに示し、機器のトラブルなどに対応する体制を整備するのは県や市町村の教育委員会の役割だ。教師たちが熱意を持って端末を使いこなしていける環境を早急に整える必要がある。同時に教師の側も自ら活用方法を積極的に探ってほしい。

 端末を利用する児童生徒の健康面にも十分に配慮しなければならない。海外の研究結果では、世界人口に占める近視の人の割合は2010年の約3割から、50年には約5割になるという予測がある。スマートフォンやゲーム機の普及といった要因が指摘されていることから、学習用端末の活用も一因になりかねない。

 このため、目に負担を掛けない適切な使い方を学校現場で徹底する必要がある。例えば▽見る際は画面を目から30センチ程度離す▽一定時間利用したら必ず休憩を取る▽定期的に画面から目を離して遠くを見るようにする―などだ。

 日々の学習におけるデジタル端末の活用は、当初は学習を補助するレベルにとどまるだろう。しかし将来的には、デジタル教科書などとして学校現場での活用の幅が広がっていく可能性がある。それだけに、児童生徒の健康面への影響だけでなく、従来の紙の教科書と比べ、どのような問題があるのかを含めて、しっかりと検証しながら取り組むことが求められる。

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