北斗星(5月5日付)

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 武家屋敷の門前らしき場所に着物姿の子どもたちが集まり、笑顔を浮かべて棒のような物で地面をたたいている。江戸時代の端午の節句に行われた「菖蒲(しょうぶ)打ち」という行事の情景だという

▼秋田藩士・荻津勝孝の作とされる絵巻の一点。金森正也著「『秋田風俗絵巻』を読む」(無明舎出版)によると、久保田城下と周辺地域の正月から初夏にかけての年中行事などが描かれている。菖蒲打ちも広く行われていたのだろう

▼菖蒲は葉が剣に似た形をしていることもあり、古くから邪気を払う力があるとされた。ヨモギと共に太刀を模して棒状に縛り、地面をたたいて大きな音を立て厄払いした。子どもたちがよほど大騒ぎをしたのか、しばしば禁止の触れが出された。絵巻の中でも屋敷から出て来た男が、子どもたちを追い払うため桶の水を浴びせようとしているのがユーモラスだ

▼県内には今もよく似た行事が受け継がれている地域がある。男鹿市船川港女川の「菖蒲たたき」は旧暦5月4日に行われてきた。子どもたちが無病息災を祈願して家々を回り、もらったご祝儀を分け合う。昨年はコロナ禍で中止。今年は今のところ実施の方向だ

▼スーパーに菖蒲の葉が並んでいた。きょうはこどもの日。新暦か、旧暦かに関わりなく人々が子どもの健やかな成長を願う気持ちは同じだ

▼コロナ禍への警戒が続く中で菖蒲の力にあやかりたい。大きな音はさせなくても風呂に入れて香りを楽しみ、リフレッシュできたらいい。

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