社説:五輪テスト大会 本番へ向けて課題多い

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 連休中にバレーボールや飛び込みなど、東京五輪テスト大会を兼ねた競技が行われた。新型コロナウイルス感染防止対策のためいずれも無観客。札幌市では沿道での応援取りやめを呼び掛け、五輪マラソンコースを使った大会が行われたが、自粛の徹底は難しく課題を残した。

 マラソンテスト大会では主催者側が「十分な態勢を取ることはできた」(橋本聖子五輪・パラリンピック組織委員会会長)などと成果を強調。ただ結果的にスタート地点などに多数の観客が詰めかけた。自粛策の限界が見えた大会ともいえる。

 同じ運営方法で五輪本番を迎えれば観客数はテスト大会の比ではないだろう。応援自粛を呼び掛ける多くのボランティアが沿道に立ったが、真夏であれば北海道でも熱中症対策が必要。コロナ対策と両立できるかの検証などは今後の課題だ。

 札幌市でのテスト大会は感染拡大の中での開催となった。道内で新型コロナ感染者が急増しており、大会直前の2日に過去最多の326人に達していた。

 鈴木直道知事はテスト大会のあった5日、札幌市を対象にまん延防止等重点措置の適用を政府に要請した。何よりも迅速であるべき感染防止対策が、五輪優先で遅れるようなことは決してあってはならない。

 公道では応援自粛しか方法がないのかもしれないが、五輪本番は全ての競技が無観客になる可能性もある。政府、大会組織委などの5者協議では観客数の上限の結論を6月に先送りしている。結論が急がれよう。

 感染が拡大する、あるいは感染者数が高止まり状態にある場合は当然、無観客が選択されるのだろう。ただ、その基準が明確ではないのが心もとない。

 大会組織委は競技会場で活動する医師確保のため、日本スポーツ協会の公認スポーツドクターを200人程度募集し始めた。先月には日本看護協会に看護師500人の確保を依頼したばかり。感染者の治療とワクチン接種で医療スタッフ不足が叫ばれる中でのこうした募集に対しては厳しい声も聞かれる。

 無観客はチケット収入や地域への経済波及効果では大きなマイナス。一方、感染拡大リスク軽減が期待され、医療スタッフ、運営ボランティア削減が可能となるのは大きなプラスだ。

 ウイルス変異株によるとみられる「第4波」が首都圏や関西から全国へ拡大しつつある。観客を入れるかどうか。コロナ対応の医療現場に無理な負担をかけずに五輪医療スタッフを確保するにはどうすべきか。そうした方針を早急に明らかにしなくてはならない。

 国内や世界を見渡せば「人類がウイルスに打ち勝った証し」としての東京五輪・パラリンピック開催が困難なのは既に明白なことだ。厳しい目を向ける国民の賛同を得て開催にこぎ着けるには、菅義偉首相が自ら新たな意義を示す必要がある。

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