北斗星(5月7日付)

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 取材で工場を見学することがある。素人の目には淡々と仕事をこなしているように見えがちだが、現場の人たちの頭の中は創意工夫に満ちているようだ。作業の無駄を省き、生産性を高める「カイゼン(改善)」で知られるトヨタ自動車の工場を訪れた際、本県出身の社員が語っていた

▼「どうやって不良品の製造を避け、品質を上げるのか」。改善に限界はなく「それが仕事の面白さ」でもあると説明するプロ意識に頭が下がった

▼先月、文部科学省が本年度の創意工夫功労者賞を発表。本県からは3社5人が選ばれた。このうちJR東日本テクノロジー秋田支店(秋田市)の小坂満さん(58)と和島浩さん(59)は、鉄道車両のエンジン検査のベテランだ

▼安全、効率的に部品を取り外す独自器具の考案が認められた。和島さんが「もっと楽で安全な作業方法はないか」と、直面する課題を小坂さんに相談。2人で失敗、改良を重ねて約3年がかりで器具を編み出した

▼賞の制定は高度経済成長期の1960年。国を支える技術の進歩はトップレベルの技術者だけで生まれるものではない。工場など現場で基盤が築かれるだけに、作業の工夫に貢献した人を表彰するという趣旨だ

▼大型連休も明け、多くの時間を仕事と向き合う日常に戻った。日々同じような仕事に改善の余地があるのは工場ばかりではない。表彰後も「まだ手作業の部分がある。機械化できないか」と語る小坂さん。飽くなき追求が気持ちを新たにする。

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