社説:緊急事態宣言延長 対策の抜本見直し必要

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 政府は東京、京都、大阪、兵庫の4都府県に発令中の緊急事態宣言を月末まで延長すると決めた。これに愛知、福岡両県を12日から追加して計6都府県を対象とする。

 いずれも新型コロナウイルス特別措置法に基づく。4都府県の当初の期間は先月25日から今月11日までの17日間。それをさらに20日間延ばすことになる。

 17日間という期間について菅義偉首相は「効果的な対策を短期間で集中して実施することにより、ウイルスの勢いを抑え込む必要がある」と強調。大型連休中の人の流れ抑制を目指していた。

 だが昨春の宣言時並みの大幅な人出の減少は見られなかった。京都、大阪、兵庫の医療は危機的状況が続き、兵庫では自宅療養中に死亡する例が相次ぐ。この状況を見れば、菅首相の掲げた「短期集中」の対策は不発に終わったと言うほかない。

 2週間余りという期間には一体、どれほどの合理性があったのか。専門家から疑問の声が上がっていたほか、「最低3週間は必要」との指摘もあった。

 それを押し切って発令を決断したのは、他ならぬ菅首相だ。その点で政治責任があると指摘しなければならない。

 政府の対応で足りないのは、科学的根拠に基づいた合理的で分かりやすい説明だ。まず発令期間の根拠が一向に見えてこない。期間中の対策を通じて、どれくらいの感染者数減少を見込んでいるのかも不透明だ。

 首都圏4都県への2度目の宣言を3月に再延長した際も、期間を2週間とした理由について説明を尽くしたとは言い難い。まん延防止等重点措置の効果についても同様だろう。

 3度目の宣言発令中の4都府県では当初、百貨店など(生活必需品売り場除く)への休業を要請。今回の延長に際し政府は営業時間短縮に変更する。

 対策を緩和するのであれば、休業要請の効果についての検証結果を示すことが求められる。同時に、国民が納得できるように説明することが不可欠だ。

 このような検証や科学的根拠の説明があってこそ、対策はより効果的なものとなるのではないか。しかし政府が一連の対策をしっかりと検証し、次に生かしているのかは疑問だ。

 政府はこの1年余、医療体制逼迫(ひっぱく)などを受けて宣言発令と延長、解除を繰り返してきた。感染力の強い変異株が全国で拡大する中、従来と大差ないような対策によってどれほどの効果があるのか疑問が拭えない。

 菅政権が早急に取り組むべきは何か。病院間の連携などにより機動的に新型コロナ患者向けの病床を確保し、余裕を持って治療できる全国的な仕組みを構築することだ。

 ワクチンが国民に行き渡る時期も依然見通せない。幅広く科学者らの英知を集め、海外にも学ぶなどして、対策を抜本的に見直さなければならない。

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