社説:赤木ファイル 全面開示し全容解明を

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 森友学園への国有地売却に関する決裁文書改ざん問題で、国が「赤木ファイル」の存在を初めて認めた。自殺した財務省近畿財務局元職員・赤木俊夫さんが一連の経緯を記録したものだ。国は1年以上も存否を曖昧にしてきた不誠実な態度を猛省し、全面開示すべきだ。

 赤木さんの妻は昨年3月、改ざんを強いられ自殺に追い込まれたとして国に損害賠償を求めて提訴。ファイルの提出も求めていた。財務省は当初「争点に関係ない」とし、その後は「探索中」として存否を明らかにしなかった。国会では係争中を理由に存否の確認を拒否。今になって存在を認め、隠蔽(いんぺい)体質だと批判されても仕方ない。

 妻は今年2月、提出を命じるよう裁判所に申し立てた。申立書によると、赤木さんは生前、妻に「自分がやってしまったことを事細かく書いて残してある」と説明。元上司もファイルの存在を語ったという。

 裁判所は今月6日まで存否を答えるよう求め、やっと来月23日の口頭弁論に提出するとした。公務員が作成した文書は民主主義の根幹を支える国民の知的資源だ。国にはそうした意識が欠けているのではないか。

 国が存在を認めたのは、改ざんの過程を時系列にまとめた文書や、財務省理財局と近畿財務局の間でやりとりされたメールなど。個人情報などとして黒塗りを施し、真相の解明を妨げることがあってはならない。

 森友問題は近畿財務局が森友学園に国有地を売却する際、異例の値引きを行ったことに端を発する。安倍晋三首相(当時)の妻昭恵氏と学園の関わりが浮上。安倍氏が自身や妻の値引きへの関与を全面否定したことなどを契機に、森友との交渉記録の廃棄が始まったとされる。

 財務省の調査では、当時理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官が改ざんの方向性を決定付けたとされる。ただ、動機や詳細な指揮系統は明らかになっていない。

 国のこれまでの対応は不誠実さが目立つ。麻生太郎財務相と佐川氏らは事実と異なる国会答弁が計139回もあった。財務省は学園関係者などとの応接記録の情報公開請求に対し、文書不存在を理由に計46回不開示とした。実際には存在していたにもかかわらず、虚偽の決定を繰り返していたのだ。

 近畿財務局と学園の交渉記録が当初開示されず、精神的苦痛を被ったとして国に対して起こされた損害賠償では、大阪地裁が文書不存在を理由に不開示としたのは「明らかに違法」との判決を出した。加えて開示に後ろ向きな国の態度を「悪質だ」と断じた。

 菅義偉首相は森友問題は決着済みとの姿勢だが、不明な点は多い。国は野党の求めに応じ、国会にも赤木ファイルを提出すべきだ。国会はファイルを徹底検証し、全容解明を進める必要がある。

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