北斗星(5月14日付)

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 読む物も遊具もなく、子どもたちは食べ物にも不自由していた。無い無い尽くしの生活だった―。そんな時代だった敗戦後の1950年、県児童会館が秋田市に誕生した。全国初の県立だった。元明徳小校長で初代館長を務めた故堀井喜一郎氏が40周年記念誌(90年発行)で述懐している

▼場所は現在、新文化施設の建設が進む旧県民会館の敷地。屋内には図書室や工作室などがあり、周囲には多彩な遊具や動物園があった。開館記念に児童向けの博覧会が開かれ、連日にぎわったという

▼遊びを通じて子どもの豊かな人間性を育む拠点だ。行政や教育界の関係者らが開設に尽力した。苦境の中、子どもたちに明るい未来を託したいとの強い思いがあったのだろう

▼昨年開設70年を迎えた。新型コロナウイルスの影響で延期されていた式典が先日、秋田市山王にある3代目の現会館(80年建設)で開催された。遊具や科学に関する展示室、プラネタリウム、劇場を備え、遠足で訪れる児童など多くの子どもたちを楽しませてきた

▼ただ最近はコロナの感染再拡大で利用が低迷している。餅つきや夏祭りといった恒例行事が次々に中止となり、工作などの講座は人数制限を余儀なくされている。残念な事態だ

▼会館の愛称「みらいあ」には「未来の秋田を築く子どもたちが集う場所」という意味がある。その言葉通り、子どもが安心して集える環境を一日も早く取り戻してあげたい。ここが再び大人の踏ん張りどころである。

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