社説:緊急事態宣言拡大 迅速さ欠く対応猛省を

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 政府は新型コロナウイルスの感染「第4波」を受け、北海道、岡山、広島の3道県を緊急事態宣言の対象に追加することなどを決めた。当初はまん延防止等重点措置の適用にとどめ、宣言対象への追加は見送る方針だった。専門家らによる基本対処方針分科会で強い対策を求める意見が出され、急きょ方針転換。新たな案を諮問し直す異例の展開となった。

 第4波に伴い、初のまん延防止措置が3府県に適用されたのが4月上旬。3度目の緊急事態宣言は4月下旬に4都府県でスタートした。その後も感染拡大が止まらない中で、政府は宣言やまん延防止措置の対象地域を追加、変更するなどの対策を実施。しかし後手に回っていることは否めない。

 専門家らは従来、政府案に異論を示しても最終的には追認する形で了承することが多かった。今回、見直しを強く求めたのは危機感の大きさの表れだ。見方を変えると、政府の現状認識が甘かったともいえる。政府は迅速さを欠いた対応を猛省すべきだ。

 北海道の1日当たりの新規感染者は4月半ばには60人程度だったが、5月13日には過去最多の712人を記録するなど、1カ月で感染が急拡大。宣言発令の目安であるステージ4(爆発的感染拡大)が続いている。岡山は指標の全て、広島は病床使用率などがステージ4だ。

 政府は7日に3度目の宣言を4都府県で延長し、愛知、福岡両県の追加を決めた。専門家はその際、今回の3道県の追加も求めたが、政府は見送った。

 感染症対策は専門家の科学的知見に基づいて、合理的な形で実施されることが欠かせない。政府は日常的に専門家から状況分析や有効な対策などについて意見を聞いているはずだ。

 にもかかわらず分科会の場で異論が噴出。初めて政府案の変更にまで至ったことで、政府がこれまで何に基づき方針を決めてきたかに疑念を抱かざるを得ない。政府は今回も含め一連のコロナ対策の意思決定過程を検証し、明らかにするべきだ。国民の不信を招くような不手際を繰り返してはならない。

 宣言は9都道府県、まん延防止措置は10県に拡大した。しかし本県をはじめ新規感染者が増加傾向にある自治体は他にもある。全国知事会は全国での宣言発令の可能性も視野に強力な感染対策を求めている。

 新型コロナウイルスは90%以上が「N501Y変異」を持つ変異株に置き換わった。感染力が強く、重症となるリスクは従来株に比べ1・4倍高い可能性がある。対応を誤れば医療崩壊という最悪の事態も起こり得ると肝に銘じる必要がある。

 3道県の宣言の期限は従来の6都府県と同じく5月末。約2週間で感染拡大防止の効果を上げるのは容易ではないだろう。感染拡大に一歩先んじた効果的な対策こそが求められる。

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