夫と長男失った大坂さん「13年、本当に長かった」石綿訴訟

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 目を真っ赤にして「本当に長かった」と語った。建設アスベスト(石綿)訴訟で最高裁が国の賠償責任を認める判決を出したことを受け、18日に菅義偉首相と面会した秋田県大仙市出身の大坂春子さん(78)=埼玉県川越市。夫と長男を失い、原告団の一人として13年にわたり闘い続けてきた。

菅首相と面会後、記者の取材に応じる建設アスベスト訴訟原告の大坂春子さん=18日午前、首相官邸


 大工だった美郷町出身の夫金雄さんが体調不良を訴えたのは2002年。翌03年1月には、石綿が原因の中皮腫で余命数カ月と診断された。

 発症後は痛みに苦しみ続け、60キロあった体重が40キロを切った。何度も検査し、最終的には痛みを緩和するためモルヒネを投与した。「世の中にこれほど痛いことがあるのかと思うほどだった」と春子さんは振り返る。

 03年5月。金雄さんは病室に泊まり込んでいた春子さんと手をつないで話している最中に、突然黙り込んで亡くなった。65歳だった。診断からわずか4カ月。春子さんは何度も「お父さん、お父さん」と呼び掛けた。

 春子さんは中学卒業後に静岡県の会社に集団就職。金雄さんと見合いし、1966年に結婚した。

 かつて、石綿は多くの建設現場で使われていた。判決によると、国は75年には石綿粉じんの危険性を理解していたのに、防じんマスクの義務付けを怠った。

 「大切な夫を返してほしいと毎日思っていた。悔しさで胸が張り裂ける思いだった」。2008年に原告の一人として集団訴訟を起こした。

 訴訟が続く中の13年2月、今度は長男の誠さんに中皮腫が見つかった。高校を中退して15歳で大工になり、父と同じ会社で仕事をしていた。

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