北斗星(5月19日付)

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 しばらく夜の繁華街から足が遠のいている。新型コロナウイルスの感染が収まらない状況では仕方ない。休業、あるいは閉店した飲食店もある

▼朝の通勤時に秋田市の繁華街・川反を歩きながら、なじみの店主の顔を思い浮かべる。ふと路地に目をやると、見慣れた顔が見えた。猫である

▼餌には不自由していないのだろう。とらじまで体格もよく、貫禄十分。通行人を見ても動じる気配はない。川反には他にも地域に愛される猫が何匹かいて、たくましさを感じる

▼解剖学者の養老孟司さんは昨年12月、愛猫まるとの別れを経験。その模様を先日の本紙「くらし欄」で語っていた。死の数日前、まるは姿を消した。慌てた養老さんは捜して家に連れ戻す。まるはその後、お気に入りの縁側で死んだ。猫は死期を悟ると人目を避けて死に場所に向かうとされる。「余計なことをしたかもしれない」との言葉が印象深い

▼猫好きの養老さんと犬好きの医師近藤誠さんによる対談集「ねこバカ いぬバカ」(小学館)はペット医療から人の死生観まで内容豊富。2人はペット相手には言葉が要らないことを重視する。現代人は常に他人の言葉に反応するよう求められて疲れる。ペットは話をしないから楽だという

▼人もペットも寿命は延びたが、別れは必ず訪れる。近藤さんはあとがきで「みとり方次第でペットが幸せにも不幸にもなるし、みとった側に心の傷が残ることもある」とつづる。飼い主の心構えを考えさせられる。

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