社説:改正災害対策法 「指示」で迷わず避難を

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 災害時に市町村が出す避難に関する情報が大きく変わった。忘れてならないのは「避難指示」が出たら危険な場所にいる人は迷わず安全な場所に移動するということに尽きる。水害リスクの高まる季節、「いざというとき」にしっかり備えたい。

 5段階ある「大雨・洪水警戒レベル」は河川の水位や雨量、気象庁の警報などを基にした情報で住民が取るべき行動を示す。しかし近年の水害で的確な避難が行われない事例があったことから、災害対策基本法の改正に伴って見直された。

 災害発生の恐れがあるレベル3の情報は「避難準備・高齢者等避難開始」から「高齢者等避難」に簡略化。高齢者や体の不自由な人はこの発令で安全な場所へ避難を始める。

 災害発生の恐れが高いレベル4はこれまで「避難指示、避難勧告」で、勧告と指示の二つの情報が出されるため違いが分かりにくく、逃げ遅れる事例があった。「勧告」をなくし「避難指示」に一本化した。

 危険度が最も高いレベル5は「災害発生情報」から「緊急安全確保」に変更。このレベルは既に災害が発生したか、切迫した状況。避難所への移動は危険を伴う可能性があるので、近くの頑丈な建物や自宅2階へ移動するなどの行動を取る。

 いずれの変更も避難情報をより分かりやすくし、住民に確実な避難を行ってもらう狙いだ。住民側は避難するのはレベル4までと肝に銘じたい。間違ってもレベル5を待って避難行動を取ることがあってはならない。

 避難の判断に迷わないため、日頃からハザードマップを確認し、自宅がある場所の危険性をよく知っておくことが大切だ。避難所や身を寄せられる親類・知人宅も確認しておきたい。

 改正災害対策基本法には、高齢者ら「災害弱者」の避難支援策も盛り込まれた。内閣府によると、2018年の西日本豪雨や19年の台風19号、昨年の7月豪雨などでは死者・行方不明者の6~8割を高齢者が占めた。

 災害弱者の逃げ遅れの防止には各人の避難ルートや避難先、支援者などを事前に決めておく「個別計画」が有効とされる。国は05年から全国の市町村に要請してきたが、本県を含め作成は遅々として進んでいない。改正基本法では「個別計画」の名称を「個別避難計画」に変更して国が市町村に作成の努力義務を課して推進する。

 全国で例年になく梅雨入りが早く、激しい雨に見舞われる地域もある。基本法が施行された20日に一本化されたばかりの「避難指示」を出した市町村もあった。避難情報の変更について早急な周知に努めたい。

 市町村にはできる限りタイミングよく避難情報を出してもらいたい。一方、それを受ける住民側には日頃からの備えに基づいて早め早めの避難行動が求められる。その両方がそろってこそ大切な命が守られる。

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