北斗星(5月28日付)

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 今月上旬、鹿角市の大湯環状列石と北秋田市の伊勢堂岱遺跡を巡った。大型連休後だったためか、コロナ禍の影響か、見学者は多くなかった。家族連れやカップルらがスマートフォンで遺跡を撮影しながら散策していた

▼今後見学者は増えるだろう。新型コロナウイルス対策の再検討も必要かもしれない。両遺跡を含む17遺跡から成る「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産登録へ大きく前進したからだ

▼国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が登録を勧告。日本が推薦した遺産候補で勧告が覆った前例はない。7月に正式決定の見通しだ。本県単独で遺産候補に応募したのが2006年。翌年に4道県共同で登録を目指すようになってから14年となる

▼思わぬ難関は国の推薦を獲得することだった。競合候補が先に推薦され世界遺産になる中、縄文遺跡群は13年から5年連続で落選。「本当に世界遺産になれるのか」と疑問視する声を聞いたことがある。勧告は、縄文文化の価値を信じて粘り強く取り組んできた関係者の労苦のたまものだ

▼狩猟・採集を基盤としたまま定住を実現した人類史上まれな社会の証しとして評価された。縄文人はDNA分析などから現代人の祖先であることが確認されている。自然と共生し1万年以上続いた文化には今も学ぶべき点がある

▼正式決定後には国内だけでなく海外からも観光客が訪れそうだ。遺跡の保全やガイド養成などを一層進め、縄文を世界に発信したい。

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