社説:県工事官製談合 再発防止策に実効性を

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 県発注工事を巡り、入札に関する情報を県幹部が業者に漏らしたとされる官製談合容疑事件で、県幹部らが起訴された。公判での真相解明が待たれる。公共工事を巡る官製談合疑惑が繰り返されることのないよう、県は実効性のある再発防止策を講じなければならない。

 起訴されたのは、県建設政策課の政策監と秋田市の建設業者元相談役の2人。県北秋田地域振興局が昨年5月に実施した県道に標識などを設置する工事の入札で、当時、振興局建設部長だった政策監が、非公表の最低制限価格を算定するのに必要な情報を元相談役に漏らしたとされる。

 県警や秋田地検はその情報が入札で利用され、業者の受注につながったとみている。これが事実なら、公共工事の入札の公正さを公務員が自ら損なう行為であり、看過できない。

 今回の事件を受けて県はワーキングチームを立ち上げ、課題の洗い出しを進めている。法令順守の徹底など具体策を検討して大枠を6月県議会に示し、詳細は秋までに提示する予定という。

 公正取引委員会によると、全国で公務員が官製談合に関与した背景はさまざまだ。業者側からの働き掛けに応じたケースだけでなく、工事の品質を確保するために信用のある業者に意図的に受注させるなどした事例もあったという。事情はどうあれ、公正であるべき入札制度を否定する行為だ。多様な要因が絡む官製談合を防ぐには、単に法令順守を叫ぶだけでは足りない。談合をしにくい仕組みを組織的に整えることが重要だ。

 今回の事件で見過ごせないのは、元相談役が数年来の知人だった政策監を勤務先に訪ね、一対一で面会した際に情報漏えいがあったとされる点だ。入札に関して決定的な情報を持つ公務員が周囲の目を気にせず業者に会う機会があれば、それ自体が問題だ。

 大阪府東大阪市は、過去の官製談合事件の反省から昨年3月、職員向けの手引を作成。「業者への対応は受付カウンターなどのオープンな場所で複数の職員で行う」などのルールを明文化した。県のワーキングチームにも、このような具体的な対策を求めたい。

 県が多くの入札で採用している最低制限価格制度にも問題はないだろうか。業者側は最低制限価格の算定根拠となる経費額などを事前に知ることができれば、非公表の最低制限価格を正確に割り出せる。入札を有利にするため業者が情報を得ようとする可能性もあり、制度自体が官製談合の温床になりやすいという専門家の指摘もある。

 落札者を決める目安の価格を下回った場合も、適切な工事を行い品質を保つ能力があるかなどを調査して落札者を決める手法もある。県は一部で試行するにとどまっているが、本格導入も検討すべきだ。

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