社説:菅原氏議員辞職 自民党の責任は重い

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 前経済産業相の菅原一秀氏が衆院議員を辞職した。都内の地元選挙区の行事で祝儀や会費名目として現金数十万円を配った疑いが浮上。東京地検特捜部が公選法違反(寄付行為)の罪で略式起訴する見通しだ。

 罰金以上の刑が確定すれば失職する。追い詰められての辞職であることは明らかだ。1日に衆院議長宛てに辞職願を提出。自民党を翌日離党していた。

 特捜部の動きを受け、党内では「辞職は不可避」との声が噴出。離党と辞職手続きを早々と済ませて菅原氏との関係を「清算」、追及を逃れようという党側の思惑がにじむ。

 最初の疑惑が明らかになったのは一昨年秋。選挙区内で秘書が香典などを渡した公選法違反の疑いがあり、当時の安倍政権下で就任したばかりの経産相を1カ月半で辞任した。

 その際、菅原氏は「事実関係を確認し説明責任を果たしていきたい」と述べた。今、その言葉の通り、国会や記者会見といった公の場で公選法違反容疑などについて自分の口から具体的に説明すべきだ。

 安倍晋三前首相の任命責任は当然として、菅義偉首相の責任も重い。側近である菅原氏の経産相就任を後押ししたのは当時官房長官だった菅氏だ。

 自民党は、昨年秋には衆院厚生労働委員会の与党筆頭理事に起用した。今春、特捜部の任意聴取を受けて辞任したが、疑惑のある人物にもかかわらず起用したのは、菅首相と深い関係があったからではないのか。

 注目すべきは今回の捜査が市民からなる検察審査会の判断に基づく点だ。香典提供などの公選法違反容疑について特捜部は不起訴とした。これに対し審査会は「起訴相当」と議決。「国会議員はクリーンであってほしいという国民の切なる願いにも十分配慮すべきだ」とした。

 元東京高検検事長と新聞記者との賭けマージャン問題でも審査会は特捜部の不起訴を覆し、元検事長について「起訴相当」と結論付けた。検察官でありながら、違法行為に手を染めたことを審査会は極めて重く見たということだ。

 二つの判断に共通するのは公職にある者に対する厳しい市民感覚だ。しかし自民党幹部の発言を見ると、こうした市民感覚と大きくずれているようだ。

 党内の政治とカネの問題について二階俊博幹事長は「政治とカネは随分きれいになってきている」と語った。一体、どのような事実を指してこうした発言をしているのか甚だ疑問だ。

 政治とカネの問題は依然絶えない。いずれも自民を離党したが、河井克行元法相夫妻の巨額買収事件や吉川貴盛元農相の鶏卵汚職事件などが相次ぐ。

 菅首相は党総裁という立場の重さを自覚し、市民感覚に沿った「クリーンな政治」の実現に真摯(しんし)に取り組むべきだ。それができなければ、政治への国民の信頼はさらに遠のく。

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