社説:男性の育児休業 取得へ職場環境改善を

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 父親が育児休業を取りやすくする改正育児・介護休業法が成立した。「男性版産休」とも呼ばれる「出生時育児休業」の新設が柱だ。夫婦が協力して育児や家事を担える環境の整備を後押しし、少子化に歯止めをかけるのが狙い。

 従来の育休は男性の取得率が全国で7・48%(2019年度)と低迷している。法改正を契機に企業は育休を取得しやすい職場の雰囲気づくりを進め、取得率の向上につなげてほしい。

 男性版産休は育休の特例措置。子どもが生まれて8週間以内に2回、計4週分の休みを取れる。出産後の女性はうつの発症リスクが高いとされ、その後も育児に伴う心身への負担は大きい。そうした時期に夫が育休を取り、一緒に育児を行う意義は大きい。来年10月の開始を想定している。

 また法改正により、夫婦それぞれが通常の育休を取れる回数は1回から2回に増えた。1歳までの期間で希望する日数を取れるのは従来通りだが、分割して取ることで交互に休みを取って育児を交代したり、妻の復職時に夫が育休を取ってサポートしたりと活用しやすくなる。

 柔軟に休める制度が整っても取得が進まなければ意味がない。育休中は育児休業給付金や社会保険料の免除により賃金の実質8割を受け取れるが、収入減を嫌って取得しない人もいるという。男性も育児や家事を担う意識をしっかり持ち、取得を検討してほしい。

 職場の理解も重要だ。厚生労働省が昨年実施した調査では、過去5年間に勤務先で育児に関する制度を利用しようとした男性の4人に1人が、育休などを理由にした嫌がらせ「パタニティーハラスメント(パタハラ)」被害の経験があると答えた。上司による妨害行為が多く、パタハラ経験者の約4割が育休の利用を諦めたという。企業全体で育休の重要性を理解し、早期にパタハラを排除しなければならない。

 企業には来年4月から従業員に育休の取得を働き掛けることを義務付ける。現在の努力義務から引き上げる。男性、女性にかかわらず従業員に子どもが生まれる場合、企業は利用できる育休制度を説明し取得するかどうかを確認しなければならない。企業が従わない場合、国が社名を公表できる。

 国は25年までに男性の取得率30%を目指している。ただ、現在は取得しても数日程度という場合が多いという。取得率だけでなく、希望する期間やタイミングで取れるようにすることも大切だ。一方、中小企業にとっては人のやりくりという課題もある。そうした企業への支援にも力を入れてもらいたい。

 子育て支援は人材の確保につながるなど企業にとってもプラスになる面があるはずだ。企業は従業員と共に育休の取得促進に前向きに取り組まなければならない。

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