社説:加速する少子化 問われる政権の本気度

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 2020年に生まれた子供の数(出生数)が約84万人と1899年の統計開始以来最少になったことが厚生労働省の人口動態統計(概数)で分かった。少子化が加速している。国の将来に関わる課題克服に政権は早急に乗り出さなくてはならない。

 妊娠から出産までの期間を踏まえれば、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が出生数に表れるのは2021年以降になる。その深刻な影響を予見させる数字が既にある。

 20年の婚姻件数は約52万組で戦後最少。前年比約7万組減は戦後3番目の大きな減少幅だ。この数字は出生数に直結する。さらに21年1~3月の出生数の速報値は前年比で9・2%減少。これらのデータから21年の出生数が70万人台まで減少するとの厳しい予測もある。

 加藤勝信官房長官が「少子化はわが国の社会、経済の根幹を揺るがしかねない問題で最優先で取り組むべき課題だ」と危機感を示したのは当然だ。同時に若者の不安定な経済状況や仕事と子育ての両立の難しさなど、少子化の要因を取り除くことが重要とも指摘している。

 しかし、これまで若者の非正規雇用を増やしてきた上、待機児童解消を唱えながら都市部ではいまだ実現できていない。政権与党にも重い責任があることを忘れてはならない。

 国は昨年5月、「第4次少子化社会対策大綱」で若い世代が希望通りの数の子供を持てる社会の実現を明記した。これに沿って男性の育児休業取得推進、来春からの不妊治療支援などに取り組んでいる。

 菅政権はさらに来年以降の「こども庁」創設により、子育て政策を推進したい考え。ただ新組織が具体的にどのような政策を担うのかは見えていない。少子化問題打開の決め手と期待するには心もとない。

 自民党内からは社会全体で子育て費用を負担する抜本策の議論を求める声が上がっている。子育てや教育に費用がかかり過ぎることが理想の子供の数を持てない理由になっているという見方が根本にある。

 少子化対策に必要な財源の議論に踏み込むことは政権の本気度を示すことにつながる。対策が国の将来に欠かせないことに広く理解を得る議論を尽くしてもらいたい。

 いま直面しているのは、これまでの長期的傾向に加え、コロナ禍でさらに加速することが予想される経験のない深刻な少子化である。明らかになった統計結果を重く受け止め、新たな危機に立ち向かう覚悟で対策の検討を急ぎたい。

 雇用環境悪化などで経済的に苦しむ若者にしっかり手を差し伸べているか。思うように勉学やスポーツに打ち込めない子供たちに必要な支援が届けられているか。こうした支援に政権は早急に取り組むべきだ。その一つ一つがコロナ禍における少子化対策につながる。

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