【大館】元パラ選手・佐々木如美さん 亡くなった女性の思い運ぶ

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代表撮影


 大館市の第1走者・佐々木如美さん(47)は走りだす前、両手でトーチを掲げて空を見上げた。聖火ランナーを務めることを待ち望みながら、昨年7月に難病で亡くなった能代市二ツ井町の佐々木若子さん(享年55)への出発の合図だった。

 如美さんは元パラリンピック選手。左手に障害があり、女子アルペンスキーで2002年ソルトレークシティー大会、06年トリノ大会に出場した。友人の応募で聖火ランナーに選ばれたが、新型コロナウイルスの感染拡大で五輪・パラリンピックは延期に。「ランナーを務められるのはうれしい半面、本当に走っていいのか複雑だった」

 そうした中、2月3日付秋田魁新報の記事「聖火ランナー佐々木若子さん 『走りたい』果たせず」を目にした。難病で体が不自由になり、能代市を車椅子で走る予定だった若子さんは、支えてくれた人に感謝を伝えたいと、リレーを生きる目標としてきたが、本番は迎えられなかった。

 「若子さんの思いを一緒に運ぶことを決意した。背中を押してもらった」と如美さん。数日後、その思いを手紙につづり、若子さんの夫・顕信さん(57)に送った。

 リレー当日の9日、如美さんは特注の器具を左手に着けてトーチを掲げるとともに、若子さんの写真も手にして完走。「周りの人への感謝の気持ちを伝えるとともに、今回走れなかった若子さんの思いも一緒に運べたかと思う」と笑顔を見せた。

 リレーを録画映像で見た顕信さんは「妻を走らせてあげたかった思いはある。でも、如美さんが喜びいっぱいに走ってくれて良かった。聖火リレーのように、体の不自由な人が喜びを表現できる場がこれからたくさんできてほしい」と語った。

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