社説:総務官僚大量処分 倫理規程、抜本見直しを

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 放送事業会社「東北新社」の外資規制違反について、総務省の第三者委員会が検証結果をまとめた。この問題への同省の対応は「行政をゆがめたとの指摘を免れない」と認定した。

 同省幹部は、国家公務員倫理規程が禁じる利害関係者の同社から何度も接待されていた。許認可権を握る官僚側に気の緩みが生じ、公正であるべき行政の判断にゆがみが生じたことはなかったか。それが同社による一連の総務官僚接待の核心だ。

 検証では結局、接待との関連は解明されなかった。だがそれは「確認できなかった」ということでしかない。真相は不透明と言わざるを得ない。

 同社の違反問題は2017年時点で外資比率が上限を超え、違反状態にあったことを指す。今年3月に表面化、5月に入り同省はやっと同社の衛星放送事業認定を取り消した。

 同省は17年8月に違反状態を認識した可能性が高いにもかかわらず、行政処分などの措置を取らなかったという。その点について第三者委は「行政をゆがめた」と断じたのだ。

 では、接待の影響がなかったのだとすれば一体、どのような理由で同省は4年近くも違反を放置し続けたのか。この新たな疑問に答えるため、第三者委は徹底的に再調査すべきだ。

 第三者委は度重なる接待や付き合いの長期化により、官僚と事業者との緊張関係が失われる危険性を指摘。「(総務省)職員と事業者との間でなれ合い意識やムラ意識が醸成されていく可能性」などを挙げた。

 これとは別に、同省が現役職員らを対象に実施した大規模調査によると、倫理規程に違反していた接待は15年以降、延べ78件。局長級や課長級など32人が処分を受けた。

 接待側として50件以上をNTTグループが占めた。次に多かったのは東北新社の19件だ。第三者委の指摘の通り、なれ合い意識やムラ意識が醸成されてはいなかったのか。

 NTTの特別調査委員会の報告書は、同省の政策判断が接待でゆがめられた事実は確認できなかったとした。だがNTTグループの件数は突出しており、疑念を払拭(ふっしょく)するのは難しい。

 NTTは旧電電公社を民営化して誕生。株式の3分の1以上を国が握る。同省に対して旧郵政省以来の監督官庁との「身内意識」があり、距離感を欠いた接待につながったとみる業界関係者がいることも確かだ。

 再発防止に向け総務省は利害関係者リストの作成や研修徹底などを挙げた。だが違法接待を受けていたのは部下に範を示すべき幹部であり、この程度の対策で根絶できるのか疑問だ。

 倫理規程に従って届け出た会食であっても回数が重なれば、なれ合いが生まれ、重要案件について公正な判断が損なわれる恐れもある。事業者との割り勘の会食を含め、政府は倫理規程を抜本的に見直すべきだ。

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