北斗星(6月12日付)

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 サッカーは原則として手を使わない。華麗な足技と空中戦が見どころの一つだ。優れた個人技を有する選手のプレーはファンを魅了する。その一人が昨年60歳で死去したアルゼンチンのディエゴ・マラドーナさんだ

▼1986年、ワールドカップメキシコ大会準々決勝のイングランド戦。ゴールキーパーと空中で激しく競り合い先制した。頭上に掲げた左拳がボールに触れて反則を疑われた。だが審判団は気付かなかった

▼後に「神の手ゴール」と呼ばれたこの得点は驚異的な跳躍力が生み出した。巧みなドリブルに加え、空中戦も抜群だった。高い空間認知能力を身に付けていた証しだろう

▼空中戦でヘディングは不可欠。そう思っていただけに、日本サッカー協会がまとめた15歳以下への指導に関する指針を見て考えさせられた。子どもの頭部への悪影響を懸念する表現が随所に見受けられる。戸惑う指導者もいるのではないか

▼ヘディングと認知症の関連を指摘する声は根強い。サッカーの母国英国の協会は11歳以下に対するヘディング練習を原則禁止する指針を示した。日本協会は禁止せず、幼児期は風船を使うなど年代に応じ段階的に技術を習得するよう求める

▼サッカーに明け暮れた小学生時代、ヘディングが苦手だったことを思い出す。スピードのあるボールを頭で受ける衝撃と恐怖心は表現し難い。ボールがぬれて重くなる雨の日は憂鬱(ゆううつ)だった。首や体幹がしっかりするまでは足技を磨くことを勧めたい。

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