社説:通常国会閉幕 五輪、コロナ 議論継続を

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 菅義偉首相が初めて臨んだ通常国会が閉会した。いまだ深刻な新型コロナウイルス感染症への対応、東京五輪・パラリンピックの安全対策など直面する重要課題について議論が尽くされたとは言い難い。国民の理解を深めることを軽視した性急な閉会ではないか。

 与党が野党の会期延長の申し入れを退けた責任は重い。コロナ禍の今、与党にはより真摯(しんし)な姿勢が求められる。会期延長の拒否理由として「政府提出法案がほとんど成立」といった声が与党にあるのは納得できない。

 10都道府県に発令中の緊急事態宣言が20日に期限を迎える。さらに7月23日開幕の五輪の観客をどうするかの決定が迫る。いずれも国会質疑を通して国民理解を深めることが必要な重要事案。こうした目の前の課題に道筋を付けてから国会を閉じるべきではなかったか。

 国内外からの人の流れが活発化することが避けられない五輪・パラリンピックに、コロナ感染拡大を懸念する国民が少なくないのは当然だ。ワクチン接種が進められているとはいえ、五輪前に終えられる人数は限られる。感染抑止効果も限定的だ。

 これまで菅首相の五輪・パラリンピックに関する説明は具体性を欠いていた。「安心、安全な大会」と繰り返すだけでは国民の心配を払拭(ふっしょく)するのは難しい。観客を入れることの是非をはじめ、安全対策を明確に示さない限り、不安の解消は困難だ。

 国会閉会を巡る政治情勢は1年前と似ているところがある。昨年もコロナ対策など大きな課題が山積。それにもかかわらず与党が野党の会期延長要求を拒否しての閉会だった。

 今国会では河井克行元法相夫妻の選挙買収事件や総務省幹部の違法接待問題などについて説明が尽くされていない。昨年も当時の東京高検検事長の賭けマージャン辞職などについて議論が不十分なままの閉会だった。政権に関わる不祥事について反省や改善が前年に続いてなおざりなのは残念だ。

 昨年、国内では7月に感染が再拡大、8月のお盆を含めて流行の「第2波」になった。7月22日に始まった政府の観光支援事業「Go To トラベル」の開始と時期が重なる感染拡大だった。来月の同時期、五輪開幕によって国民に気の緩みが生じるようなことがあれば二の舞いになりかねない。

 ワクチン接種が進むことは大きな安心材料だが、一方でインド株のような変異株の脅威も心配だ。中には流行の「第5波」の恐れを指摘する専門家もいる。兆候があれば迅速な対策が求められる。

 政府は検査・医療体制、防疫措置などの見直し、拡充を不断に進めなくてはならない。閉会後も与野党が閉会中審査などで議論を継続することが大切だ。必要に応じてためらうことなく臨時国会を開き、対応すべきなのは言うまでもない。

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