社説:改正少年法 立ち直り支援にも力を

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 改正少年法が成立した。事件を起こした18、19歳を「特定少年」とし、重大な事件については20歳以上と同様に刑事手続きを取る。来年4月から成人年齢が18歳に引き下げられるのに合わせた措置だ。大人の自覚を促しつつ、教育による「立ち直り」を重んじる少年法の理念を踏まえた運用を求めたい。

 少年事件では全ての事件を家庭裁判所に送致する。殺人や傷害致死など凶悪な事件は家裁が原則として検察官に送致(逆送)している。今回の改正では、特定少年に限って逆送の対象に強盗や強制性交など「法定刑の下限が1年以上の懲役・禁錮に当たる罪」を加えた。

 2019年12月~20年2月に家裁が扱った18、19歳の刑法犯1708人に当てはめると、逆送対象は3人から52人の約17倍に増える。ただ原則逆送の対象となる事件でも、主犯か従犯かなど状況により刑事処分以外の措置を相当と認めれば逆送しないこともあり得る。家裁の審理はこれまで以上に重要になる。

 逆送を経て起訴され、実刑が確定すれば刑務所で服役する。刑務所は少年院送致などの保護処分とは異なり、刑罰を科すことに重きが置かれ、教育的指導は少ないとされる。執行猶予の場合も教育的指導をほとんど受ける機会はない。

 日頃の不良行為から罪を犯す恐れがあると認められた「虞犯(ぐはん)」の扱いも変更された。特定少年は家裁送致し、立ち直りを促す対象から外す。これも教育的指導の機会が失われることになる。立ち直りをどう支援していくかは大きな課題だ。

 このほか、実名や写真など本人を特定する報道が起訴段階で解禁される。これは「できる」であって、「する」かどうかは報道機関がそれぞれ判断する。起訴されても、裁判所が少年院送致など保護処分がふさわしいと判断すれば、家裁に審理を戻す可能性もあるだけに慎重な判断が必要となる。

 大人と子どもの中間的な扱いとなる特定少年は、自民、公明両党の協議を経て設けられた。参院で審議入りした際、菅義偉首相は「社会で責任ある立場になる一方で、成長途中にあることを踏まえて取り扱うべきだ」と説明した。

 殺人など凶悪な少年犯罪が起きるたびに法改正を求める声が高まる。被害者などからは今回の改正を肯定的に捉える意見のほか、少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げなかったことへの不満も聞かれる。

 刑法犯として摘発された少年は19年が2万6076人で、15年と比べると46%減った。少年事件の増加など改正の根拠となる事実はなく、これまでの少年法が十分に機能していたとの批判も説得力がある。

 政府は施行から5年後、18、19歳への措置を改めて検討する。適切な運用とともに、再犯の状況など法改正の影響をきめ細かくチェックしてほしい。

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